目指すべき未来の「図書館」の在り方とは?~デジタルアーカイブによる過去の保存が未来を創る~慶應義塾大学 福島幸宏様

【前説】

慶應義塾大学文学部図書館・情報学の福島幸宏准教授は、大学・大学院時代の日本近代史研究を通じて地域資料の重要性に気付き、京都府職員として、特に貴重史資料の保存・公開に携わってきました。現在はデジタルアーカイブという分野の確立と、デジタルアーカイブの普及・利活用を推進する“ムーブメント”に取り組んでいます。

「利用しやすい地域資料データ」とは何か?
「図書館職員に今後求められる技能」とは?

地域資料の保存と活用、また公立の図書館が取り巻く今後の役割について、福島准教授のこれまでのご経験や現在の活動とともに紐解いていきます。

 

本インタビューでは、慶應義塾大学文学部図書館・情報学の福島幸宏准教授(以下、福島先生)の【過去】京都府職員時代、【現在】大学教員時代、【未来】の3部構成でお話を伺えればと思います。

 

【過去】京都府職員時代

 ー 京都府職員時代のお話に入る前に、福島先生のこれまでと現在の活動について教えてください。

福島先生 :慶應義塾大学文学部 図書館・情報学専攻の福島幸宏と申します。私は島根大学で学士課程を修了後、京都府立大学で修士課程を経て、大阪市立大学(現:大阪公立大学)大学院で博士課程を修了しました(単位取得満期退学)。学生時代は一貫して日本近代史を研究しており、神社史や地域社会に関心があったことから自治体史調査なども経験しました。

大学院修了後は、京都府立総合資料館(現:京都府立京都学・歴彩館)に入職し、その後京都府立図書館に移り、合計14年間、京都府職員として勤務しました。京都府職員時代には様々なプロジェクトに関与しましたが、特に以下の3つは対外的にも大きな反響を呼びました。

 

京都府職員時代に携わったプロジェクト事例
1. 京都府行政文書の管理・運用
20世紀以降の紙資料として初めて重要文化財に指定された京都府行政文書の管理・運用を担当しました。
2. 「京都市明細図」の公開
京都市明細図【1】」を公開し、京都の街歩き事業の基盤となり、地域の歴史的理解を深めるツールとして利用されました。
3. 「東寺百合文書」のWeb公開
東寺百合文書(国宝)【2】」を著作者への表示を条件として作品の頒布・編集・改変・他作品への転用を認めるという意味を持つCC BYでWeb公開。Library of the Year 2014大賞を受賞し、さらに世界記憶遺産(現:世界の記憶)に登録されました。

 

これらの成果は、もちろん私個人の功績ではなく、共に取り組んだチーム全員が力を合わせた結果です。このような経験を通じて得た知見やノウハウは、私自身の成長にも大きく寄与しました。そして、京都府職員時代に培った史資料の保存・公開に関する経験を基に、大学教員へと転身しました。東京大学大学院情報学環では特任准教授として2年間勤務し、現在は慶應義塾大学文学部で図書館・情報学の准教授を務めており、今年で4年目を迎えます。

 


京都府立総合資料館(現:京都府立京都学・歴彩館)が公開する国宝「東寺百合文書」のデジタルアーカイブ
出所:東寺百合文書WEBより抜粋・加工して筆者作成(2024年9月30日参照)

 

プロフィールのご紹介を頂き、ありがとうございます。それでは福島先生の【過去】京都府職員時代に関しても、これから少しご質問させていただければと思います。

 ー 千年以上も日本の首都であり続けた京都という土地柄、京都府立総合資料館や京都府立図書館には多くの貴重な史資料が所蔵されているかと思います。史資料をデジタル化する上での優先順位や条件などはありますでしょうか。

福島先生 : 私が京都府立総合資料館で働いていたのは2010年代前半までですが、その当時、デジタル化に関する明確な優先順位や条件は特に定まっていませんでした。資金や人員を確保できた際に「可能なものから」着手する、というアプローチで貴重な史資料の電子化やWeb公開を進めていました。

例えば、私が携わった昭和戦前期に作成された「京都市明細図」【1】のデジタル化事例をご紹介します。「京都市明細図」とは、1927年に当時の大日本聯合火災保険協会が作成した火災保険図の一種です。1951年頃までに数度の訂正や加筆が行われており、京都府の職員が都市計画に利用していた可能性があるとされています。総合資料館に所蔵されているこの「京都市明細図」は、都市計画の観点から、現代の京都の基盤が形成された時期を反映しているため、大変価値のある地図です。

この事例では、目録を公開したことにより立命館大学地理学研究室の矢野桂司教授からお問い合わせがあり、その結果、大学のリソースを利用してデジタル化が進められました。

その他の事例としては、昭和戦前期の公文書です。昭和戦前期の公文書のうち、特に土木や建築関係の資料には、図面が多く含まれています。これらの図面は封筒に入れられ、いくつかの封筒ごとに簿冊【3】に綴じて保管されています。加えて、それぞれの厚みもあるため、厚みを調整するために封筒間にスポンジなどが挟まれていることがあります。これらが重要文化財に指定されると、補強材料であるスポンジも重要文化財の一部と見なされ、廃棄することができません。扱いが難しい資料です。そのため、このような資料の修理や解体を行う際に、デジタル化も同時に行う仕組みになりました。

現在、様々な自治体の事例を見る限り、デジタル化の手法は進展していると感じます。具体的には、資料の状態を調査し、破損の可能性が高いものや、直接触れることで痛む恐れのあるもの、さらに利用可能性が高いものを優先的にデジタル化するという方針が取られています。ただし、潤沢なデジタル化予算を有している自治体は多くはなく、必ずしもこの方針が徹底されているわけではありません。

それでも、特定の資料群に対する予算が割り当てられること自体は肯定的に捉えています。偶発的なデジタル化と戦略的なデジタル化がうまく組み合わされば、理想的な結果が得られる場合もあると考えています。

 

 ー 2021年の京都図書館大会基調講演の中で、福島先生は「ともかくユニークIDとスナップ写真のみでも情報を出して、資料の存在を公に」【4】とお話されていましたが、これは「京都市明細図」のデジタル化に携わったご経験からでしょうか。また、その際の経緯をもう少しお聞かせください。

福島先生 :そうですね、「京都市明細図」の実体験から得た学びです。蔵書点検でこの資料が発見された当時、ちょうど人文科学の分野で地図資料にGIS【5】的な処理が本格的に試みられ始めていた時期で、学術界からの需要があったという点で、京都市明細図は非常に幸運でした。

こうした学問のトレンドに合わせ、迅速な公開を目指すことになり、蔵書点検からわずか2〜3ヵ月後には最低限の目録を付して資料を公開しました。この資料公開は、報道を通じて予想以上の反響を呼び、閲覧や複写が殺到しました。

その影響もあり、それまで面識のなかった立命館大学の矢野桂司教授からご連絡をいただき、先述のような立命館大学グローバルCOE「日本文化デジタルヒューマニティーズ拠点」歴史地理情報研究班と京都府立総合資料館との連携が実現したのです。この協働によるデジタル化プロジェクトは、資料公開からわずか半年で開始されました。当時としては非常に迅速なプロセスでした。

 

 ー 2012年時点で「京都市明細図」は外部で二次利用やWeb公開が行われ、また福島先生自らが「まち歩きの講師」として明細図の利用を促すなど、積極的に広報活動をされている印象を受けました。当時から、デジタルアーカイブされた史資料の利活用を意識して活動されていたのでしょうか。

福島先生 :正直に申し上げると、当初は利活用についての意識はそれほど強くありませんでした。私はもともと文献資料を調査・分析する歴史研究者だったため、文献がデジタル化されてWeb上に公開されていれば、それで十分だと考えていたのです。

しかし、矢野桂司教授の研究室に所属する大学院生との交流を通じて、地理学の視点から見た「使いやすさ」の重要性に気付き、「デジタルアーカイブ」として利活用することへの意識を持つようになりました。

例えば「京都市明細図」の場合、京都府立総合資料館の「京の記憶ライブラリ」【6】で未加工のデジタルデータが公開するとともにそのデータを元に立命館大学が開発・公開する「近代京都オーバーレイマップ」【7】にて二次利用が行われました。行政が二次利用を想定して元データを提供し、外部の機関が二次利用するという役割分担です。

また、その後のやりとりのなかで、二次利用を促進するためにクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(以下CCライセンス)【8】を付与し、使用条件を明確にすることの重要性を学びました。

デジタルアーカイブの利活用を促進するためには、CCライセンスの付与は非常に重要です。なぜなら、デジタル化された写真、文献、映像、音声などは、著作権で保護されている場合があり、利用者はCCライセンスによって使用条件を理解し、安心して利用することができるからです。

こうした経験を通じて、「デジタルアーカイブは使われてこそ価値がある」という考え方に至り、それが現在の活動の指針となっています。

 

京都府立総合資料館(現:京都学・歴彩館)所蔵の「京都市明細図」をもとに立命館大学が開発した「近代京都オーバーレイマップ」
出所:近代京都オーバーレイマップより抜粋・加工して筆者作成(2024年9月30日参照)

 

【現在】大学教員時代

 本来そうあるべき姿ではありますが、デジタルアーカイブを構築する側になると、つい利用者視点を忘れてしまいがちです。利用されてこそのデジタルアーカイブだということを改めて実感しました。

ー 次に、現在取り組まれている活動についてお話を伺いたいのですが、その前に福島先生が教えられている図書館・情報学とはどのような学問分野なのでしょうか。

福島先生 : 初期の図書館・情報学は、主に図書館職員の育成を目的として発展しました。

図書館・情報学は、利用者に対して迅速かつ的確に資料を提供できるよう、情報の組織化、分類、検索、利用に関する理論と実践を研究してきました。

しかし、コンピュータの活用が進むにつれて、図書館・情報学の知見はコンピュータを用いた情報検索やデータ管理にも応用されるようになり、現在ではその範囲が広がっています。

その結果、今日の図書館・情報学は、伝統的な図書館の枠を超え、現代の情報社会における情報管理と利用者支援の方法を模索する、非常に幅広い学問へと発展しています。

このように図書館・情報学は非常に広範な学問であり、簡単に説明することは難しいのです。

 

 ー 「ググる」という単語が社会で普及するほど、インターネットで検索する行為は私たちの生活に深く浸透していますが、検索エンジンに図書館・情報学の知見が応用されているのですね。そういった図書館・情報学の研究に関連して、福島先生が現在取り組まれていることについて教えていただけますでしょうか。

福島先生 : 現在は、デジタルアーカイブの分野を確立するための取り組みに力を注いでいます。約70年ぶりに単独改正され、2023年4月に施行された新たな博物館法では、博物館が法的に「デジタルアーカイブの作成と公開」を求められるようになりました。

これにより、大学や国立の博物館だけでなく、情報の収集・保管・提供という共通の役割を持つ公立博物館でも、デジタルアーカイブ構築の動きが一層活発化しています。そして図書館や公文書館なども以前からデジタルアーカイブに取り組んできました。

ただし、「デジタルアーカイブ」という概念はまだ確立されていないため、評価基準や導入コストに関するさまざまな議論に参加しながら、段階的な変革を推進しています。

加えて、2023年にはデジタルアーカイブジャパン推進委員会実務者検討委員会(事務局 内閣府知的財産戦略推進事務局)が『「デジタルアーカイブ活動」のためのガイドライン』【9】を発表しましたが、その内容と方針は私の活動とも共通するところがあります。

教育活動やワークショップを通じて、デジタルアーカイブの価値を広く認識してもらい、社会全体で日常的に活用してもらうことを目指しています。

そのため京都府職員から大学教員になった現在は、デジタルアーカイブについての研究をしているというよりも、その普及や利活用を推進する一種の“運動=ムーブメント”に取り組んでいると言った方がしっくりくるかもしれません。

 

 ー これまでのお話を伺っていると、今後の図書館職員には、さらに高度な専門知識や技術が求められる印象を受けますが、福島先生は図書館員にはどのような能力が必要だとお考えでしょうか。

福島先生 : 今後の図書館員に求められる技能としては、「コンテンツ」、「情報流通」、「社会状況」の3つを理解することです。

それぞれの技能をもう少し具体的に説明すると

1. 「コンテンツがわかる」:取り扱う情報や資料の内容についての理解があること。

2. 「流通情報流通がわかる」:情報や資料の収集、整理を行い、最終的にそれがどのように利用されるか、という一連のプロセスを理解し、その運用を最適化できること。

3. 「社会状況がわかる」:利用者や社会のニーズを的確に読み取り、さらに社会の動向に関心を持ち、常に最新の情報にアップデートすること。

とはいえ、これら3つの技能をすべて一人で完璧にこなせる人はほとんどおらず、またその必要もありません。京都府立総合資料館で勤務していた際、私は情報流通や社会状況についての理解を深める勉強をしていましたが、それ以外の分野では専門知識を持ち合わせていませんでした。

結局のところ、すべてを一人で担う必要はなく、チームで協力しながら問題を理解し、必要に応じて作業を分担することが大切だと考えています。

 

「未来の図書館職員」に求められる技能を説明する福島先生

 

 ー 先ほど“ムーブメント”を広めているとおっしゃっていましたが、現在取り組みを進める中で、どのような課題と機会を感じていますでしょうか

福島先生 :京都府職員時代と現在を比較しても、デジタルアーカイブの普及や利活用に関する本質的な課題は大きく変わっていません。

一方で、先述の通り改正博物館法が施行され、博物館には「デジタルアーカイブの作成と公開」が求められるようになり、デジタルアーカイブ構築への機運が高まっています。また、日本国内のさまざまなデジタルアーカイブを横断的に検索・閲覧できるポータルサイト『ジャパンサーチ』が登場したことで、各機関が個別に公開していたデジタルアーカイブを連携させる意識が芽生えるなど、徐々に変化が見られます。

しかし、新たな課題も浮上しています。GIGAスクール構想【10】によって子供たちがデジタルアーカイブに触れる機会は増えましたが、学校の教育現場で使用できる地域のデジタル資料が依然として不足していることが明らかになっています。

第一の理由としては、デジタル化の遅れが挙げられます。多くの公立図書館や博物館では、予算や人手不足により、デジタル化作業に十分なリソースを割けない状況にあります。また、デジタル化に必要な情報が十分現場に共有されていないことも進展の遅れに繋がっています。

第二に、著作権などの権利処理の問題があります。地域の歴史的資料や写真は、個人や団体が所有している場合が多く、利用許諾を得ることが難しい場合があります。そのため、教育現場での活用が難しいケースが多く見られます。

こうした資料不足を解消するためにも、MLA(Museum、 Library、 Archives)【11】の分野における情報の一元化やデジタル化の推進は、引き続き重要な課題です。これらの分野の機能を維持しつつ、連携を強化していくことが、今後の大きな挑戦となるでしょう。

学校教育の現場でデジタルアーカイブに触れて育った世代が、デジタルアーカイブを日常的に使いこなす時代が、もうすぐ来るかもしれませんね。

【未来】今後の展望

それでは第3部、「未来」に関する質問をさせていただきます。

ー 博物館法の改正に伴い、学芸員や司書養成課程におけるデジタルアーカイブに関する内容を充実させていく必要があると思いますが、その点についての現状の課題とお考えをお聞かせください。

福島先生 : まず、2023年の改正博物館法の施行を受けて、学芸員養成課程がどのように対応するかを考えることが重要だと思います。約70年ぶりの博物館法改正にもかかわらず、残念ながら現時点では学芸員養成課程のカリキュラムが、改正博物館法に合わせて変更されていません。

また、電子書籍がこれほど普及している現在、紙の本は情報媒体の一部に過ぎないと考えるべきですが、司書養成課程に関しても、いまだに紙の本の扱い方を主軸にカリキュラムが構成されています。

この原因の一つとして「教える側」の人材不足が挙げられます。デジタルに精通した教員やスタッフが充実している大学もありますが、多くの司書養成課程や学芸員養成課程では、デジタル分野を深く教えることができる教員が少ない、もしくはその必要性が重視されていないのが現状です。

司書や学芸員の就職市場でも、デジタルスキルが求められているにもかかわらず、現行の養成課程がその需要に追いついていないのは悩ましい状況です。社会的な需要と養成課程のギャップを埋めるためにも、時代に合わせた課程の改正が必要だと感じます。

 

なるほど。デジタル技術がますます教育現場や博物館・図書館の運営に欠かせないものになっている中で、養成課程がどのように対応していくのか、その動向に注目したいと思います。それでは本日最後の質問です。

ー 図書館・情報学という学問が過去から現在にかけて大きく変化したように、今後「図書館の機能」は変わっていくのではないかと考えられます。福島先生は、「図書館」が今後どのような存在になっていくとお考えですか

福島先生 : 今回お話する「図書館」は公立図書館に限定しますが、図書館の未来の機能は「地域に残る情報」を、うまく社会と共有し、次世代に継承することが主になるでしょう。

「地域に残る情報」とは、国宝や重要文化財である必要はありません。国宝や重要文化財は、制度的な評価に基づいて指定されたものであり、地域にとって重要な情報とは、「誰かが残したい、残さなければならない」と感じたものです。

例えば、山形大学では「街の記憶をアーカイブする(共生を考える)」【12】という授業が開講されています。この授業では、学生のスマートフォンに入っている山形の街に関連する写真を提供してもらいます。学生から集めた写真は、現在の山形の姿を映し出しており、スマートフォンで撮影した何気ない日常の写真が、数十年後には地域にとって重要な資料になる可能性があることを実感できる、非常に実践的な授業です。

情報の専門家である図書館職員は、こうした「地域に残る情報」を集約し、デジタル化することで、「図書館」が地域の人々にとって情報の「ライブラリー」としての機能を担う必要があると考えます。

図書館のサービスには、書店との連携や児童サービスの強化など、さまざまな方法がありますが、これらのサービスは他の施設による運営でも代替は可能です。しかし、図書館や博物館の本質であり、他では代替できないのは「地域情報のストレージ」としての役割です。

そして、この考え方をもっと広く社会に理解してもらう必要があると感じています。目指すべき未来の「図書館の在り方」を実現するために、今後も“運動=ムーブメント”に邁進していきます。

取材・文/最上治子 写真/鈴木晴喜

脚注・参考文献

京都市明細図【1】
1927年に大日本聯合火災保険協会が作成した火災保険図の一種。京都府職員が都市計画に利用したとされる。(福島幸宏,第30回京都図書館大会基調講演, 「デジタルアーカイブの作り方・使い方・持たせ方」から一部、抜粋)

 

東寺百合文書【2】
京都の東寺に伝えられた日本中世の古文書。現在は京都府立京都学・歴彩館(旧京都府立総合資料館)が所蔵する。8世紀から18世紀までの約1千年間にわたる膨大な量の古文書群で、その数はおよそ2万5千通に及ぶ。(東寺百合文書WEBから一部、抜粋)

 

簿冊【3】
相互に関連があり、保存期間を同じくすることが適当な公文書の集合物。(大阪市, 文書分類表から一部抜粋)

 

福島幸宏. “「デジタルアーカイブの作り方・使い方・持たせ方」”.  2021-11-29.(参照 2024-09-18).【4】

GIS【5】
地理空間データを収集・管理・解析・表示する技術で、地図上に位置情報を表示し、空間分析を行うツール。都市計画や環境保護、災害対策など、さまざまな分野で活用されている。

 

京の記憶ライブラリ【6】
京都府立総合資料館が公開するウェブサイト「京の記憶ライブラリ」は東寺百合文書などの重要古文書のほか、文献資料、写真資料、行政文書など1万点のデジタル化資料を提供するデータベース。京都府立総合資料館が閉館し、京都府立京都学・歴彩館へ移転するタイミングで、「京の記憶ライブラリ」は公開終了、新データベースシステム「京の記憶アーカイブ」として現在は公開。

 

近代京都オーバーレイマップ【7】
立命館大学アート・リサーチセンターが「近代京都の歴史GISプロジェクト」として開発し、公開したWebシステム。京都御所を中心とした京都市中心部に対し、明治期以降の各年代における現存する計9種類の地図をオーバーレイで閲覧することができる。

 

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス【8】
CCライセンスとはインターネット時代のための新しい著作権ルールで、作品を公開する作者が「この条件を守れば私の作品を自由に使って構いません。」という意思表示をするためのツール。(クリエイティブ・コモンズ ジャパンから一部、抜粋・引用)

内閣府知的推進戦略推進事務局. “「デジタルアーカイブ活動」のためのガイドライン(概要版)”. 2023.9.1【9】

GIGAスクール構想【10】
GIGA(Global and Innovation Gateway for All)の略で、1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、特別な支援を必要とする子供を含め、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育環境の実現を目指す取り組み。(文部科学省のGIGAスクール構想の実現へから一部、抜粋)

 

MLA(連携)【11】
MLA(Museum、 Library、 Archives)の略で、人間の文化活動に関わる情報を蓄積する美術館、博物館、図書館、文書館の間で行われる連携や協力活動。

 

「街の記憶をアーカイブする(共生を考える)」【12】
山形大学人文社会科学部人文社会科学科人間文化コースの前期で、上級デジタルアーキビストでもある小幡圭祐准教授によって開講されていた授業『「街の記憶をアーカイブする(共生を考える)」』。

プロフィール

慶應義塾大学 文学部 図書館・情報学 准教授
福島 幸宏様

【経歴】
大阪市立大学(現:大阪公立大学)大学院後期博士課程にて、文学研究科 日本史学専攻単位取得満期退学。
卒業後、京都府職員として京都府立総合資料館(現:京都府立京都学・歴彩館)および京都府立図書館に勤務。
その後、大学教員に転身し、東京大学大学院情報学環で特任准教授を務め、現在は慶應義塾大学文学部の図書館・情報学准教授。
京都府職員時代に培った史資料の保存と公開に関する経験をもとに、現在はデジタルアーカイブ分野の確立に向けた“ムーブメント”に取り組む。

【学会委員】
日本歴史学協会 常任委員/文化財保護特別委員会委員長/若手研究者問題特別委員会委員
デジタルアーカイブ学会理事
日本アーカイブズ学会委員
三田図書館・情報学会委員