デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションって何が違うの?

2021.08.18

パソコンだけでなく、スマートフォン・タブレットも世界全体に浸透し、5Gも始まった現代では様々なものがネットワークと接続し、情報連携や伝達もできるようになりました。

そんな時代の変化に伴い、ネットワーク上で完結できる環境構築と商品開発が求められています。

そこで、注目されているキーワードが

  • デジタイゼーション
  • デジタライゼーション
  • デジタルトランスレーション(DX)

です。

この記事では上記3つのキーワードの解説と違い、導入事例も含めて説明します。

デジタイゼーションとは

デジタライゼーションのイメージ

まずは、デジタイゼーションについて解説します。

デジタイゼーションとは、情報をデジタル化(電子化)することです。書類やフィルムなどアナログな媒体の情報をデータ化することで、情報の検索や共有を容易にして、作業を今まで以上に効率よく進められる環境を構築します。

日本も国を上げてデジタル化を推進しており、2018年に日本経済産業省から「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」が発行されました。時代の変化に柔軟な経済体制の構築による、日本経済の発展を説いています。

デジタイゼーションの特徴は、これまでの作業プロセスはそのままにして、アナログだった作業をデジタル化させること。今まで以上に多くの作業をスピーディに処理できるようなり、デジタル化が進むことで生産性の向上に繋がります。

導入実例

これから、デジタイゼーションの導入した実例を紹介します。

書籍の電子化

書籍電子化のイメージ

紙媒体でしか存在していなかった情報を専用のスキャナーを使い、電子化することで、情報の保存・ネットワークを介した共有が可能となります

書籍のスキャン方法は以下の2種類です。

  1. 書籍を解体してスキャンする「破壊スキャン」
  2. 書籍の形のままスキャンする「非破壊 / 非裁断スキャン」

スキャナーによって色味の再現度が異なるため、写真や絵などのカラーページがある書籍を電子化する場合は注意しましょう。

また、OCR処理を加えることで、文字検索も可能となり、必要な情報を瞬時に手にすることができるようになります。

当ブログを運営するスキャンサービス・そのままスキャンでは、株式会社WOWOW様で似た仕様の電子化をさせていただいたことがあります。社内報のバックナンバーを非破壊で電子化させていただきましたが、文字検索をご希望されたことからオプションでOCR処理も実施しました。非破壊電子化のメリットは『原本をそのまま残せる』ことにありますが、一方で中の情報を必要な時、必要な形で使えるようデータ化することで、紙の原本では出来なかった活用が実現されるのです。

※事例:株式会社WOWOW様

貴重資料の電子化

あしなが育英会様

原本が数少なく、歴史ある資料は存在そのものが貴重になります。世界に1つしかない資料となればなおさらです。

20年以上も前の資料となると、保管状況によっては日焼けやシミが発生し、経年劣化が進めば文字情報が読み取れない状態になってしまう場合もあります。貴重な資料は1度破損すると、二度と目にすることができなくなってしまいますが、1度データ化すれば今の状態のまま記録として残すことができます

貴重資料の電子化で言えば、そのままスキャンではあしなが育英会様所蔵の書籍(上写真)を電子化させていただいたことがあります。対象書籍は創業者様が書いた、団体の精神の核ともいえる要素が凝縮されたもので、中の情報それ自体に大きな価値があります。このような場合は中のデータを活用する、という目的以前に、いかに傷つけず保存するかが一つの重要な指標となります。

※事例:あしなが育英会様

デジタライゼーションとは

デジタライゼーションとはデータ化された情報にデジタル技術を用いて付加価値をつけること・新たなビジネスモデルを展開することです。アナログだったものを電子化して、自社サービスとしての商品化・仕組み化することを指します。

これまでは直接訪問・ハガキのやり取りなど手間が多いサービスが主流でした。しかし、ネットワークを介したサービスに変化することで、労力と時間の節約に繋がり、新しい顧客の獲得や既存顧客の満足度向上につなげることが期待できます。

デジタイゼーションとの違い

デジタイゼーションは、アナログな媒体の電子化のことであり、導入。それに対し、デジタライゼーションは、電子化した情報を活用した「商品化・仕組み化」を意味するため、1歩先に進んだ工程を指します

業務フロー・プロセスもデジタル化し、さらなる作業効率化・生産性の向上を図ることを言います。

導入事例

デジタライゼーションを取り入れた3つの事例をご紹介します。

カーシェアリングサービス / タイムズの事例

1つ目は株式会社タイムズ24が運営するオンラインで完結するカーシェアリングサービス「タイムズカー」。今までは店舗に行ってレンタカーを借りるサービスが主流でしたが、「タイムズカー」は借りることができる車が設置されている駐車場に行けば、店舗に行かなくても車を借りることができるサービスです。

カーシェアリングサービスは車の種類も豊富で、用途に合わせて様々な車を運転することができます。ガソリンを入れる必要も無く、15分単位で利用もできるため、通常のレンタカーよりもお得な金額で利用できる点が大きなメリットです。

映像をオンラインで提供 / VOD

2つ目は、映画やアニメなどの映像をオンラインで閲覧できるサービスVOD(Video On Demand)のご紹介です。今まではレンタルショップに行って、ビデオ・DVDを借りていましが、近年ではNetflixやAmazon Prime Videoなど数多くのサービスが登場し、ネットワークを介して楽しむスタイルが主流になりました

低価格な月額制が多く、見放題なので時間を気にせず楽しめる点から多くの支持を得ています。

自動応対 / RPA

RPAのイメージ

RPAとはRobotic Process Automationの略で、ロボットを用いたサービスの自動化を意味します。

具体的な導入例は以下4点です。

  • 音声ガイダンスによる電話応対
  • 顧客情報の自動入力
  • ECサイトの在庫管理や受注時の自動送信メール
  • 請求書の自動作成

以前は人が行ってきた作業をロボットが代わりに行うことで人手不足・労働時間問題の解消により、空いた時間を活用した生産性の向上に期待が集まっています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DXのイメージ

デジタルトランスフォーメーションは、企業全体がデジタルを活用したビジネスモデルへ変革することを意味します

超高齢化社会・人口減少により働き手が少なくなる日本において、DXの促進は経済成長を大きく左右するほど重要な課題です。

経済産業省からも日本全国の企業に対して、DXへの移行を推進しており、2018年に経済産業省内の研究会がまとめた『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』の中では「2025年の崖」を提唱しています。「2025年の崖」とは、2025年までに日本の企業がデジタルトランスレーションを推進できなかった場合、毎年最大12兆円もの損失につながり、日本経済が大きく転落する可能性があることに対して唱えた課題です。

現在、世界を席巻するGoogle,Amazon, Facebook, apple,Microsoftを始めとする企業はDXをいち早く取り入れ、様々なサービスを開発してきました。

日本もこの時代の流れにのって、デジタル時代を生き抜き、日本経済を発展させていくためにもDXを推進する動きが活発になっています。

デジタイゼーション・デジタライゼーションとの違い

DXは、デジタイゼーションやデジタライゼーションとはどのように違うのでしょうか

前述2つは既存のビジネスモデルにデジタル技術を導入し、元々あるサービスをデジタルに変革することで、新たなビジネスモデルを展開するまでを指します。

DXは、デジタル化の最終段階であり、企業全体がデジタルを活用してビジネス環境の変化に対応できるようにすることです。

デジタイゼーションやデジタライゼーションは内部・プロダクトをさしますが、DXはより広義な意味でのデジタル化を意味します。

以上、DXの解説やデジタイゼーションとの違いについては過去の記事で解説しています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

導入実例

これからDXの導入したサービスの実例を3社ご紹介します。

薬の飲み忘れ防止を実現 / 大塚製薬の事例

大塚製薬は、処方箋の飲み忘れを防止する「プレタールアシストシステム」を開発。このシステムは、薬を収納するケースと、スマートフォンを連携し、患者だけでなく親族や医師も服薬状況を確認できるようにしたサービスです。

他にも、薬を飲むタイミングを登録しておくことで、定刻になるとスマートフォンに知らせてくれる機能も搭載されています。

契約書もクラウド上で完結 / クラウドサインの実例

紙の契約書とハンコのイメージ

紙と印鑑が必要だった契約書を、クラウド上で完結できるサービスを開始。ペーパーレス・移動や郵送の手間を無くすことを実現しました。100社以上のサービスと連携が可能で、多くの企業が導入しています。

映像学習の先駆け / トライグループの実例

教育事業を展開する「トライグループ」が中学生や高校生が無料で授業を受けられるサービス『Try IT』を開発しました。

サービスは10代の子でも見やすいように全てスマホで閲覧できるようになっており、分からない点は講師に質問ができます。ビジネスモデルのベースは無料の授業動画ですが、先生への質問やテキストなどは有料になっており、新たなビジネスモデルとして成立しました。

前提としてペーパーレス化が重要な理由

これまではデジタイゼーション・デジタライゼーション・DXについて解説をしてきました。上記3つは一連の流れになっており、1つでも欠けてしまうとDX化を実現することはできません。そして、DX化実現のための第一歩が「ペーパーレス化」。

既存の書類(契約書・論文・資料・書籍など)をデータ化・電子化すること・書面の手続きを廃止して、オンライン上で完結できる仕組みを作ることから始まります。

2010年より前では、公的な手続きやサービスの契約も現地か郵送で書類の記入が主流でしたが、パソコンだけでなくスマートフォン・タブレット端末が普及した現代ではビジネスに限らず一般消費者においてもデジタル化が広く浸透している時代です。その場に行かなくても完結できるサービスが求められる時代だからこそ企業は、データ化・デジタル化への移行が重要となります。

ペーパーレス化によるメリット・デメリット

書類の形式を残す場合、メリットもありますがデメリットも存在します。

メリット・デメリットを以下にてまとめました。

メリット
  • 1度データ化すれば劣化しない
  • 保管スペース・管理費 / 書類の郵送が不要になる →経費削減・空いたスペースが活用できる
  • 場所にとらわれず必要な情報をすぐに見つけられる → 作業の効率化
  • 資料の閲覧が容易になる→情報共有が容易になる
  • 直接対面の人員が不要になる→別作業に対応可能になり生産性が向上
デメリット
  • 経年劣化による書類としての証明価値の低下
  • 保管コストの増大
  • 書類の蓄積によるスペースの圧迫
  • 書類を探し出す手間が多い(時間の浪費が増える)
  • 対応する人員が必要になる

不要な書面や対面での形式を無くすことで、多くのメリットがあります。また、SDGsの課題に対する取り組みとして、ペーパーレス化に取り組む企業も増えており、2019年に公表した総務省の分析データによると29.1%の企業が推進していました。(参考:引用:総務省 情報通信白書(平成24年度版)より)

ペーパーレス化を実現するための課題

溜まった書類

ペーパーレス化を実現するには今のままでは難しく、課題を抱えています。

以下5点が主な課題です。

  • 情報セキュリティの強化
  • 対応端末の導入
  • 社内のデジタル化、環境整備
  • ITリテラシーの強化
  • DX、ペーパーレス化を促進する人材の育成

ネットワーク上で情報を管理する以上、ウィルス感染やハッキングによる情報流出が発生してしまうリスクもあります。情報を管理する企業側は厳重な情報セキュリティ対策と、環境整備・管理できる人材が必要です。

ペーパーレス化を外注するメリット

社内に溜まった膨大な書類や書籍はデータ化するだけでも一苦労。スキャナーの導入・操作方法の習得・データの整理まで行っていたら、自分の仕事に手がつかなくなってしまいます。結果的に生産性が低下しては、ペーパーレス化も実現できません。

そんな労力やコストを割かずに、効率的にペーパーレス化を実現したければ、外注することをおすすめします。

外注するメリットは以下4点です。

  • 専門業者はスキャナーを数多く保有している
  • スキャンデータの用途・目的に応じた画像品質にも柔軟に対応可能
  • 画像の加工にもより、見やすいデータ作成が可能
  • OCR処理を追加することで、文字情報の検索も容易になる

1から社内で導入するには時間と金額面のコストが余計にかかってしまい、非効率的。外注することで、自社の仕事に集中しながらペーパーレス化を進めることが可能となります。

ペーパーレス化をワンストップで実現

  1. クラウドサインオフィシャルパートナー
  2. 最大60%オフのディスカウントあり
  3. 製本契約書、大判資料も電子化OK
  4. データ入力作業まで丸ごとおまかせ

詳しく見る

まとめ

適切なデジタル化のイメージ

テクノロジーの進化により、10年・20年前とは違い、ネットワークを介したサービスが我々の生活にも広く浸透しました。便利なサービスが増えて、今後ますます電子化は加速されていくでしょう。

だからこそ、今回ご紹介したDX(デジタルトランスフォーメーション)が必要であり、実現のためにはデジタイゼーション・デジタライゼーションが必要不可欠です。

ご紹介した事例を含め、自社のビジネスに当てはめて考えてください。