ポジフィルムとは?特徴とネガフィルムとの違いも解説
ポジフィルムという言葉は聞いたことがあるけど、正確な意味を理解している方は少ないのではないでしょうか。
フイルム一眼レフカメラを使ったことがある方であれば、馴染みはあるかもしれませんが、現代はデジタルカメラ・スマートフォンの普及によりフィルムを使ったことがある世代も減ってきました。
しかし、ポジフィルムは1940年代から使用されている歴史あるフィルムです。貴重な資料となる写真や映像も多く、情報保存の観点からポジフィルムをデジタル化する動きも活発になってきています。
本記事では、そんなポジフィルムの
- 基本情報
- 特徴
- ネガフィルムとの違い
について解説していきます。
目次
ポジフィルムとは?
ポジフィルムは別名「リバーサルフィルム」「陽画(ようが)フィルム」とも呼ばれています。どんな特徴があり、どんな用途で使われているのでしょうか?
まずは、ポジフィルムの基本情報について解説します。
特徴
ポジフィルムは、きれいに映し出せる分、露出の対応範囲が狭く、カメラ設定を間違えると写真が白飛び(オーバー)・黒つぶれ(アンダー)が起こりやすいです。
そのため、カメラ上級者向きフィルムとも言われています。
しかし、シーンに合わせたカメラ設定をすることで、表現したい繊細なタッチ・色味まで映し出せる点においてポジフィルムに勝るものはありません。
中でも、光を取り入れた写真の美しさは圧巻です。山肌に生える木々の凹凸・雲1つ1つの繊細なグラデーションが表現された夕焼け・日差しやストロボライトを取り入れた人の撮影では発色が良く感情に訴えかける絵が撮影できます。
また、現像するときは、「スリーブ」か「マウント」かを選ぶことができる点もポジフィルムの特徴です。
「スリーブ」とは、ネガフィルムと同じように数コマずつシートに入れて仕上げること。「マウント」とは、1コマごとにフィルムをカットしてスライド映写機に適した形状にすることを意味します。
フィルムをまとめて保管したい方はスリーブ、1枚ずつに分けて保存したい方はマウントにしましょう。
デジタルカメラが普及した現在でも、美しい表現が必要な雑誌の撮影・映画などの映像フィルムとして・風景を鮮やかに映し出すためにプロ〜アマチュアのカメラマンの間で活用されています。
ポジフィルムの歴史
黎明期 | 1940年代から日本にもポジフィルムが普及し、書籍・ポスター・雑誌などの素材写真や風景を撮影するフィルムとして広く活用されはじめました。 |
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全盛期 | 1960年代からカメラも娯楽の1つとして一般家庭にも浸透。1990年代まではプロジェクターが無かったため、資料となる写真や図などをスライド映写機から投影して鑑賞する形が企業の会議・学会・学校の授業でも取られていました。 |
衰退期 | 2000年代に入り、デジタルカメラが普及。ポジフィルム市場は縮小しはじめ、現在に至る。 |
ポジフィルムの市場はデジタルカメラの普及により、縮小傾向にありますが、美しい表現ができるフィルムとして今でもプロカメラマンや〜カメラ愛好家の間で使われ続けています。
しかし、現像できる写真屋も減っているため、ポジフィルム愛用者からは存続を願う声が上がっています。
保存の注意点
衰退したとはいえ、世の中には既に大量のポジフィルムが出回っています。資料である以上経年劣化は避けられないため、適切な方法で保管する必要があります。ポジフィルムの保管で気をつけるべきことは何なのでしょうか。
保管ミスによる劣化が起きやすい条件は以下3点です。
- 高温な場所で保管している
- 紫外線による日焼け
- 湿気によるカビやヨレ
保管場所からお酢のような酸っぱい臭いがしたら「ビネガーシンドローム」と呼ばれる代表的な劣化症状が進行している可能性があります。
ポジフィルムの保管温度はフィルムにより異なりますが、10~15℃ほど・湿度が50%以下の日陰で涼しく、湿度の低い場所での保管がおすすめです。
ネガフィルムとの違い
ネガフィルムとポジフィルムって何が違うのでしょうか?
特徴となる主な違いは以下4つです。
- ネガフィルムは露出範囲が広いので、多くのシーンに対応できる
- ネガフィルムは撮影後に色の補正ができる
- フィルム代、現像代もネガフィルムの方が安い
- ポジフィルムはプリント(焼き付け)しなくてもフィルムを見れば写真の内容や色味を確認できるが、ネガフィルムは現像しないとわからない
ネガフィルムは「見た通りの絵が撮れるフィルム」と言われており、使い捨てカメラにも用いられています。
撮影できる写真の表現は1パターンになりやすい傾向にありますが、露出範囲が広いため、初心者にも扱いやすい点が大きなメリットです。
ポジフィルムのメリット
今でも「きれいな写真を撮るならポジフィルム」と言われ続ける理由は何なのでしょうか。
それは「圧倒的な表現の幅の広さ」があるからです。
ネガフィルムは多くのシーンに対応できる分、どの写真も似たようなタッチになってしまいますが、ポジフィルムはカメラ機能を駆使できるようになれば自由自在な表現ができるようになります。
- ホワイトバランス(色温度)
- ISO(明るさ)
- F値(レンズの絞り / ピント)
- シャッタースピード など…
これらをシーンごとに適切な設定ができれば、繊細な風景やシャープな仕上がりの写真を撮ることができます。
ポジフィルム自体も対応している種類が豊富なので、撮影したい明るさやイメージに合ったフィルムを選びましょう。
ポジフィルムはデジタル化しよう
ポジフィルムで撮影した、人を魅了する写真・時代を映し出した写真も、月日とともに経年劣化は起きてしまいます。
思い出の1枚や、貴重な資料となる写真フィルム・映像フィルムも長年放置していては、現像当時のような色味から色あせてしまうでしょう。
ポジフィルムで撮影した美しい写真を形として残すためにも、デジタル化(データ化)することをおすすめします。
デジタル化のメリット
デジタル化することで得られるメリットは下記5つです。
- データとフィルム原本の2つがあれば、バックアップとしても安心
- フィルム保管に使われていたスペースが空いて、コスト削減につながる
- フィルム内に写っていた美しい風景や、貴重な宣材写真は商品展開(収益化)が可能となる
- ホームページやSNS投稿、資料への掲載が可能となる
- 情報共有が容易になり、作業効率化が図れる
フィルムや写真からしか伝えられなかった情報をデジタル化することで、用途の可能性も大幅に広げることができます。
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