文字起こしとは?速記との違い、活用されるシーンを紹介。

2021.05.07

文字起こしという言葉をご存知でしょうか?最近では、作業の効率化・情報整理により、生産性の向上が見込めることから活躍の場が大きく広がっています。テレワークや副業解禁の流れにより、在宅ワークとしての文字起こしも聞いたことがあるかも知れません。

本記事では文字起こしの用途や活用されているシーンについてご紹介します。

文字起こしとは?

文字起こしとは、具体的にどんなことをするのでしょうか?まずは、文字起こしの基本となる作業内容や流れについてご紹介します。

文字起こしの基礎知識

文字起こし作業のイメージ

文字起こしとは、ICレコーダーやスマートフォンで録音された会議や講演会・インタビューの音声をテキスト / 文章化する作業のことです。「書き起こし」「テープ起こし」「音声起こし」「反訳」とも呼ばれています。

より広義では紙に書かれた文字をPC画面上で書き起こすことも“文字起こし”と呼ばれますが、概ね文字起こしといえばこの音声を文字に変換する作業を指します。

必要に応じて、

  • 要約
  • ケバ取り(「うーん」「えー」などの無意味な音声を消す作業)
  • タイムコード入力(データ内の発言した時間情報)

も行います。

音声は聞くことで情報を得ますが、文章は情報を整理して記事にするため、瞬時に必要な情報を提供できる点が大きなメリットです。

スムーズな情報発信・共有をするための資料として文字起こしは役立てられています。

作業の流れ

文字起こし作業のイメージ

作業工程は大きく3つに分けられます。

  1. 音声を聞く
  2. 音声を聞きながら文字起こしをする
  3. 要約・編集を行い、完成

音声データから内容を正確に再現するため、作業者が音声データを繰り返し聞きながら編集を行い、わかりやすい文章にして原稿を作成しています。

なお、初見で音声を聞きながら文字起こし…という方法も不可能ではありませんが、文字起こしではまず音声の内容全体を把握することが必要です。場合によっては参考資料や情報なども見ながら把握することもあるので、フローの一つ目はとても重要な作業と言えます。

『速記』との違い

速記(そっき)とは、速記符号と呼ばれる特殊な記号を用いて発言内容を正確に記録する手法のことです。

速記符号の段階では、一般の方が内容を理解できないので、取材後に日本語へ変換する作業が必要となります。また、速記符号は記者によって微妙なクセがあるため、発言内容を記録した速記者が原稿を作成しなくてはいません。

文字起こしとの1番の違いは、現場への同席の有無です。

速記では記者が現場に同席しますが、文字起こしは録音された音声を元に原稿を作成するため、基本的には現場に同席はしません。

文字起こしが利用されているシーン

文字起こしは、現代においてどのように活用されているのでしょうか?ここからは、どのような業界・どういった場面で活用されているのかを解説していきます。

インタビュー

インタビューの画像

経営者・店主・アーティストなどの著名人のインタビュー記事に文字起こしは活用されています。

雑誌や新聞に掲載されているインタビュー記事を読んだことがある方も、多いのではないでしょうか。他にも、文字に起こした原稿がテレビのテロップ(字幕)として役立てられることもあります。

会議・議事録

企業のビジネス会議・国会や委員会などで議事録を作成する際に用いられています。

会議となると1時間以上になることが多いため、議事録を作成するだけでも多くの時間が必要です。

外部に文字起こしを依頼することで、空いた時間を別の作業に当てられるようになるだけでなく、わかりやすい文章と要約により、スムーズな情報共有が可能となります。

法廷

法廷のイメージ画像

法廷で行われる裁判では、音声データを事件の証拠として提出する際に用いられています。

会話や発言を録音した音声データは準文書に当たるため、音声データのみでは証拠として認められません。

音声データを証拠として認めてもらうには、「誰が・いつ・何を発言したのか」など音声データの内容が記載された反訳書面の作成が必要です。

離婚・相続・養育権などの家事事件、窃盗や傷害などの犯罪に欠かわる刑事事件、金銭トラブルやコンプライアンス問題などの民事事件、その他多くの事件にも文字起こしが用いられています。

医療

医師の画像

医療において文字起こしが活用されてる場面は、学会・シンポジウムなどの講演です。

他にも医師座談会や経営会議、医者へのインタビューでも用いられています。

専門用語が多いため、医療に関する知識をもつ作業員が担当し、原稿を作成します。

外国語 / 多言語

現代では、日本人が海外の方と会議をすることも珍しくありません。

日本語と英語だけでなく、スペイン語・フランス語・ドイツ語・中国語など多言語が混在する国際会議や、企業のビジネス会議の音声を各言語ごとに原稿を作成します

セミナーやシンポジウムでは、情報発信・共有用の参考資料として文字起こしが役立てられています。

翻訳

翻訳のシーン

外国語の音声情報を日本語圏の方へ、広く伝えられるように、外国語のみ・外国語と日本語が混在している音声の「文字起こし+翻訳」を行うこともあります。

音声も字幕も海外の言語だった場合、日本人であれば、内容を理解できない方も多いのではないでしょうか。

話し手のニュアンスも加味した翻訳をすることが重要となるため、各言語のネイティブな言い回しにも精通したスタッフが、原稿の作成をしています

文字起こしの業者について

ある程度専門知識が必要とされることもあること、社内リソースを本業へ集中させたい意向などから、文字起こしを外部業者へ委託するニーズが増えています。データ入力が挙げられる、いわゆるBPOの一つですが、需要や利用シーンの多様さから文字起こしに特化した専門業者も多く存在します。

一見、ジャンルによってそれぞれ必要な知識・ノウハウが全く異なる為、同じ業者に依頼することは難しいように思えますが、基本的に文字起こしサービスは各分野に精通した文字起こしスタッフを沢山抱えており、案件に応じて適切なスタッフに割り振ることで様々な内容の音声に対応しています。

料金は●●分=△△円といったような時間当たりで算出されることが多いです。一般的には内容の専門性が高くなるにつれて費用も掛かるシステムになっており、いわゆる通常の会話の文字起こしよりも医療や外国語といった高度な知識が求められる音声の方が高額になる傾向があります。それだけ起こせる人員が希少になってくる為です。

文字起こしの対応領域はサービス間で大きな差が無い為、依頼を検討する際は価格や納期、取引実績等を比較する相見積もりを実施するのが良いでしょう。

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AIによる自動文字起こしとは

「AIによる自動文字起こし」とは、AIが音声を認識&解析し、様々な作業を人に変わって自動化してくれるシステムのことです。文字起こしにも自動化の波が押し寄せており、近年注目を集めています。

ここからはAIによる自動文字起こしの仕組みとメリット・デメリットについて解説していきます。

AI自動文字起こしの仕組み

AI(人工知能)のイメージ

AIによる自動文字起こしは、人が発した音声を読み取り、自動で文字起こしをしてくれるサービスです。音を波形データから解析して、言語を認識し、文字に変換しています。

最近ではAmazon Echo(Alexa)・Googleアシスタント・AppleのSiriなど音声認識の技術が日常生活の中にも浸透してきており、作業効率化の観点から注目されています。身近な例では、YouTubeの自動字幕もAIによる文字起こしの一例です。

利用するメリット・デメリット

手入力での文字起こしと比べて、AI自動文字起こしを利用することのメリット・デメリットをご紹介します。

メリット
  • 音声を聞きながら手入力をする必要がなく、自動で入力してくれる
  • 文字起こし中に別の作業ができるので、時間を有効活用できる
デメリット
  • 認識ミスによる漢字や単語の変換間違いがある
  • 複数名が同時に発言してしまうと、正確な文字起こしができない
  • ケバ取りは必要
  • 句読点の入力や要約を行わなくてはいけないので、編集作業は必要

AI自動音声を利用することで、手入力の手間を省いてくれる点から忙しい現代人にとって便利なツールとして注目されています。しかし、発言のニュアンスを加味した変換ができない点や、誤字脱字など、まだまだ改善の余地がある状態です。

今後、より正確な音声認識技術の精度向上が期待されています。

まとめ

文字起こしは、様々な業界で議事録や記事に形を変えて活用されています。

何気なく目にしているテレビや雑誌のニュース・コラム・インタビューも、文字起こしがされているからかこそ、我々は多くの情報を手にすることができています。音声は無形であるが故に、情報発信や共有には適さない媒体ですが、文字に起こすことで視覚的且つスピーディに情報を伝えることができるようになります。

しかし、文字起こしは多くの時間と労力が必要なため、どうしても後回しにされやすいです。パソコン内に眠った大量の音声データを持ち続けている方も多くいます。

音声データの整理でお困りの方は、一度、文字起こしのご利用をご検討ください。