電子書籍リーダーとは?メリットや種類を紹介!
2019年現在、書籍を購入する場合、2つの選択肢があります。紙の書籍を買うか、電子書籍版を買うかです。電子書籍はスマホやタブレットが普及した2010年代に入ってから、よりメジャーな存在になりました。電子書籍を読んだことがある方は多いはずです。
電子書籍はスマホやタブレットでも読むことができますが、電子書籍リーダーという電子書籍を読むためだけの専用端末が存在します。本記事では、電子書籍リーダーの基本的な情報から歴史、使用するメリットや独自機能を説明します。
目次
電子書籍リーダーとは
電子書籍が普及している2019年現在、電子書籍リーダーは私達の身近に存在する端末です。この章では、電子書籍リーダーの基本情報や電子書籍リーダーを販売している代表的なメーカーなどを中心に説明します。
基本的な情報
電子書籍リーダーは電子書籍を読むために特化されている端末。電子書籍リーダー以外に電子書籍ビューワーや電子書籍専用端末など複数の呼び名がありますが、全て電子書籍リーダーのことを指します。また、電子辞書も電子書籍リーダーに該当します。
電子書籍リーダーは電子書籍フォーマットであるEPUBやMOBIで作られたファイルを読み込み、ディスプレイに表示することが可能。
筐体のサイズは様々で、2019年現在では消費者のニーズに応えるべく、片手で収まる6インチから書籍を見開きで読める8インチまで多彩な電子書籍リーダーが販売されています。
電子書籍リーダーに使われる電子ペーパーとは
電子書籍リーダーのディスプレイは、目に負担のかからない電子ペーパーが使用されているケースが多く、電子書籍リーダー=目に優しい環境で電子書籍を読める、という認識が広がっています。
電子ペーパーは、紙の特長である視認性を保ちながら表示している内容を一般的なディスプレイのように書き換えられるものを指します。
電子ペーパーの特徴は以下の通り。
非常に省電力
一般的なディスプレイに比べて、画面書き換え時にしか電力を消費しないため、電子ペーパーを搭載している電子書籍リーダーは電池が持つ傾向にあります。
一般的なディスプレイと比べ応答速度が遅い
しかし、文字や静止画が中心となる電子書籍リーダーでは大きなデメリットになりません。
視認性が高い
画面の表示方法が一般的なディスプレイと異なって反射光を使うため、直射日光がディスプレイに当たっても見やすく、視野角も広い。そのため、屋外でも読書を楽しめます。
電子ペーパーは、電子書籍リーダーで紙の書籍を読む場合と同様の読書体験を提供するために必要となるパーツです。電子ペーパーが電子書籍リーダーにおける大部分の魅力を担っていると言っても過言ではありません。
電子書籍リーダーで読める電子書籍と紙の書籍の違い
電子書籍は紙の書籍と比べられるケースがあります。「書籍を読む」という点で言えば、紙が電子媒体に置き換わっただけですが、電子書籍特有の機能が搭載されています。
電子書籍はハイパーリンクを使用したページ移動や動画や音声などを組み込め、紙の書籍では実現することが不可能なコンテンツを読者に提供できます。
特にハイパーリンクを使用したページ移動は、目次から特定の位置まで一瞬でページ移動できるため、紙の書籍と比べてより快適な読書体験を体験することが可能です。
代表的なメーカー
次に、電子書籍リーダーの代表的なメーカーを見ていきましょう。
Amazon
アメリカに本拠を構え、世界14カ国で展開している巨大ECサイトを運営している会社。2019年現在では、多くの方が知っているのではないでしょうか。
AmazonはECサイト内で電子書籍の販売を行うKindleストアを運営しており、購入した電子書籍を読むための専用端末として「Amazon Kindle」を製造・販売しています。
Amazon Kindleは2007年に第1世代がリリース。2019年現在では第10世代がリリースされており、電子書籍リーダーでシェア一位を獲得しています。
Amazon Kindleの特徴は電子ペーパーのひとつであるE-Inkを使用したディスプレイを搭載している点。E-InkはE Ink社が開発した電子ペーパーであり、世界的に有名なため、2019年現在では電子ペーパー=E-Inkという図式が成り立っています。
既に説明した通り、電子ペーパーは非常に目に優しいという性質があるため、Amazon Kindleを使用して長時間読書をしても苦になりません。
Amazon KindleはWi-Fi環境下で、Kindleストアから購入した電子書籍をダウンロードできます。
楽天
楽天はインターネットサービスを展開する日本企業。日本ではAmazonと二分するECサイトである楽天市場を運営していることで有名。
楽天も子会社である楽天KoboがAmazonと同じく電子書籍ストアと電子書籍リーダーを販売しています。
元々楽天Koboは「Kobo」の名称でカナダのトロントに本拠を構え、電子書籍ストアと電子書籍リーダーを販売していましたが楽天に買収され、子会社化しました。
楽天Koboが販売している電子書籍リーダーは、社名と同様Koboの名称で販売されています。
KoboもAmazon Kindleと同じく、E-Inkの電子ペーパーを採用。長時間ディスプレイを見つめていても目が痛くなりません。
また、購入した電子書籍はAmazon Kindle同様Wi-Fi環境下でダウンロードして端末に入れることが可能です。
KoboとAmazon Kindleは性能面で違いがほとんどありません。2019年現在、電子書籍リーダーといえば楽天KoboかAmazon Kindleを指します。
BookLive
BookLiveは凸版印刷の子会社であり、電子書籍配信会社。電子書籍ストアである 「BookLive!」を運営しています。
2012年に電子書籍リーダー「Lideo(リディオ)」を販売。Amazon Kindleや楽天Koboと異なり、ターゲットを電子機器が苦手な中高年と明確に定めて販売開始。
しかし、Lideoは楽天KoboとAmazon Kindleの勢いに負けてしまい、残念ながら2016年に販売を終了しました。
Lideoの販売は終了しましたが、電子書籍ストアのBookLive!は2019年現在もサービスを継続しています。
普及率
電子書籍リーダーの普及率はどれくらいでしょうか?
「平成29年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」を参照して書かれた記事を参考にすると日本での電子書籍リーダーの普及率は16.3%。その内、利用率は6.1%とのこと。電子書籍リーダーを購入したが、使っていない層がほとんどのようです。
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電子書籍自体は、電子書籍リーダーがなくてもスマホやタブレットでアプリを通して読むことができ、パソコンも専用ソフトを使用することで読書可能です。
電子書籍を読む際は、読書用に電子書籍リーダーを購入するよりも所持しているスマホやタブレットを使用して読む人が多いのかもしれません。
注意点
電子書籍リーダーは、販売されているメーカーよって読める電子書籍と読めない電子書籍に分かれます。
具体的な例を出すと、Amazon Kindleは、AmazonのKindleストアで販売している電子書籍しか読めず、楽天Koboは、楽天Kobo電子書籍ストアで販売している電子書籍しか読めません。そのため、Amazon Kindleで楽天Kobo電子書籍ストアの電子書籍を読むことは不可能であり、逆も同じです。
Amazon Kindleと楽天Koboは、それぞれのメーカーが展開している電子書籍ストア専用の電子書籍リーダーです。
しかし、自分で電子化した書籍については、Amazon Kindleの場合mobiフォーマットに、楽天Koboはkepubフォーマットに変換することで、端末に取り込み読むことが可能です。
発展の歴史
電子書籍リーダーはいつ開発されて、どのような発展を遂げてきたのでしょうか。この章では電子書籍リーダーの歴史について紹介します。
世界初の電子百科事典を開発
1949年にスペイン語教師であるアンジェラ・ルイズ・ローブルが電子百科事典を開発。彼女は教師として働く中で教科書をより軽量で、光源のない暗い場所でも読むことができ、音声サポートを搭載している機械として開発できないか考えていました。
そんな彼女が知恵を絞って開発した電子百科事典は、電子書籍リーダーの先祖と言えるもの。電子百科事典の発表から電子書籍リーダーの歴史が始まりました。
世界初の電子書籍リーダーが発売
1990年にソニーが世界初となる電子書籍リーダー「DATA Discman DD-1」を発売。電子書籍は8センチCD-ROMで提供され、CD-ROMのデータを読み込んで使用します。
電子書籍リーダーとして販売されましたが、電子書籍として販売されているCD-ROMのほとんどが辞書関連であり、電子辞書として扱われるケースが大半でした。
電子書籍市場の誕生
2000年前後になり、インターネットが普及しだすと電子書籍に対して課金方法が整備されるようになり、日本国内で電子書籍市場が誕生。合わせて電子書籍リーダーが発売されます。
しかし、2000年台の電子書籍リーダーは高価で、読める電子書籍も少ない等を理由に日本国内では普及しませんでした。販売された電子書籍リーダーは次々と生産が打ち切られ、販売終了の道をたどっていきました。
日本では携帯電話向け電子書籍市場という小規模な市場だけが生き残る一方、アメリカではAmazon Kindleが発売され、アメリカの電子書籍市場は活発に。9万冊以上の電子書籍をAmazonが用意したことが成功の要因でした。
日本国内でも多数の電子書籍リーダーが発売
2010年にAppleがiPadを発表し、アメリカでそれまで販売が振るわなかったiTunes Storeから販売している電子書籍が売れるように。Amazonの独占状態だったアメリカの電子書籍市場に反撃を加えます。
iPadの影響で日本も廃れてしまった電子書籍市場が活発になりはじめ、KDDIやソニー、シャープ、BookLiveから電子書籍リーダーが販売されるようになりました。日本で再び電子書籍市場が活発になった2010年は「電子書籍元年」と呼ばれています。
タブレットやスマホとの違い
よく電子書籍リーダーはタブレットやスマホと比較されます。中には電子書籍はスマホやタブレットで読めばいいので、電子書籍リーダーは不要と述べる方も。けれども、電子書籍リーダーはタブレット、スマホと異なる読書体験を提供してくれる端末です。この章では、電子書籍リーダーのメリットと独自機能について説明します。
電子書籍リーダーを購入するメリット
読書に集中できる
電子書籍リーダーはタブレットのようにブラウジングや電子書籍の読書、アプリの利用、動画再生は行えず、基本的に電子書籍を読むことしかできません。
読書しかできない点は、多様な使い方ができるスマホやタブレットと比べるとデメリットのように感じます。しかし、メールやアプリからの通知やSNS、ブラウジングの誘惑がないため、読書に集中できるという見逃せないメリットが隠されています。
電子書籍リーダーは読書に対しての集中力を乱されることがないため、情報が多く、誘惑も多い現代社会において、読書に最適な端末と言えます。
軽量である
電子書籍リーダーのほとんどは重量が200g前後で、文庫本一冊程度と非常に軽量。また、本体サイズも6インチが主流なため、ポケットに入れて持ち運び、電車の中やカフェ等書籍を読める場所ですぐに読書ができます。
1台で数千冊の書籍を持ち歩ける
電子書籍リーダーは8GBから32GBほどの内部ストレージを持ち、ここに購入した書籍や自分で入れた書籍が格納されます。電子書籍リーダー1台で、数千冊の電子書籍を持ち歩くことが可能です。
スマホやタブレットでも電子書籍リーダーと同じく、内部ストレージに電子書籍を格納することは可能ですが、OSや写真、アプリ、メディアファイル等で内部ストレージが圧迫されるため、電子書籍を格納できる数では電子書籍リーダーの方が上です。
スマホ・タブレットと比べてコストパフォーマンスが良い
電子書籍リーダーは価格が安く、読書をメインに考えるのであれば、スマホやタブレットを購入するよりもコストパフォーマンスに優れています。電子書籍リーダーはおおよそ1万円前後で購入できます。一方、スマホやタブレットは、格安モデルでなければ電子書籍リーダーの3倍は購入費用がかかるでしょう。
電子書籍リーダー独自の機能
ディスプレイに電子ペーパーを採用している
電子ペーパーは紙のように視認性が高く、タブレットやスマホ、パソコン等に採用されているディスプレイと異なり、電子ペーパー自体が発光しているわけではないため、目に優しいという特長があります。
電子書籍リーダーを使用しての読書はタブレットやスマホを使って読書するよりも目が疲れにくいため、読書量の多い人ほど電子ペーパーを採用している電子書籍リーダーが向いています。
バッテリーが非常に持つ
電子書籍リーダーは電力消費量の少ない電子ペーパーを採用していることもあり、一度充電すれば数週間は充電不要になるくらいバッテリーが非常に持ちます。
スマホやタブレットが1~3日に一回充電が必要なことを考えるとバッテリー持ちが良いことがよく分かります。
まとめ
電子書籍リーダーは、電子書籍が普及した現代では身近な存在であり、目に優しい電子ペーパーを搭載していることから、電子書籍を読むのに最適な端末です。
2019年現在の日本において、電子書籍リーダーという単語は、ほぼAmazon Kindleか楽天Koboを指します。他にも数々の日本製電子書籍リーダーが発売されてきましたが、電子書籍ストアの規模からAmazonと楽天に敵わず撤退していきました。
電子書籍リーダーは、スマホとタブレットでも電子書籍を読めることから機能やメリットを比較されます。しかし、快適な読書体験を提供するという点においては、電子ペーパーを搭載している点や軽い本体に数千冊の電子書籍を格納可能など数々の特長からスマホやタブレットより電子書籍リーダーの方が適しています。
2019年現在で電子書籍リーダーの普及率は16.3%と少々心もとない数値でありますが、今後の発展と普及に期待したいところです。