アウトソーシングって何?メリットや業種も紹介

2019.04.26

最近アウトソーシングという言葉を良く耳にするようになりました。しかし、アウトソーシングの意味や、具体的にアウトソーシングにはどのような種類があるのか、ご存知ない方も多いかと思います。

そこで本記事では、アウトソーシングとはどういうものなのか、について解説します。更にアウトソーシングすることのメリット・デメリットにも合わせて触れていきます。本記事を読めば、企業におけるアウトソーシングの重大性がお分かり頂けることでしょう。

アウトソーシングとは

オフィスの風景

まずはアウトソーシングの意味について説明致します。その他アウトソーシングの基礎知識についても、簡単にではありますが解説します。基礎知識に関してはもう十分あるという方は、この項目は飛ばして読んでも構いません。

アウトソーシングの意味

アウトソーシング(outsourcing)とは、「外部から資源を調達すること」を意味します。

会社経営におけるアウトソーシングとは、日常の業務を会社の社員のみで行うのではなく、他の会社や個人に依頼するやり方の事を言います。アウトソーシングは、業務委託外注などと、おおよそ同じ意味合いで使われることが多いです。

アウトソーシングを行う主な理由は、企業内の負担を減らし、より業務を効率化させるためです。会社で行われる時間のかかる作業や専門的な作業を外部に依頼すれば、より仕事がスムーズに行えます。

アウトソーシングには当然、他社にお金を支払うためのコストがかかります。契約金をいくらにするかは、他社と取引をして決めることになります。

アウトソーシングと人材派遣の違い

アウトソーシングと人材派遣は、根本的に意味が違ってきます。

アウトソーシングは仕事を外部の会社に依頼することを言いますが、人材派遣はスキルを持った人材を自社に派遣してもらうことです。業務の効率化を図るという目的は共通していますが、やっている内容は全く異なりますのでご注意下さい。

人材派遣の場合、自社で人材を育成したり勤怠管理したりするためのコストがかかります。対してアウトソーシングではそのようなコストがかかることはなく、人材の育成まで他社が行ってくれます。また人材派遣の場合、その人が退職した場合仕事に穴が空いてしまいます。

業務の効率化を図ろうと思ったとき、人材派遣を利用を考える人は多いです。業務量が少ない場合は人材派遣の方が向いていますが、人材派遣にはデメリットもあることを理解しておいた方が良いでしょう。

アウトソーシングの現在の状況

アウトソーシングは現在日本でも注目を集めています。注目を集める要因としては、以下のものが挙げられます。

  • 高度なITスキルを要求される業務の増加
  • 経済成長の鈍化に伴うコスト圧縮
  • 経済のグローバル化
  • 競争力の向上

今後企業を更に成長させていくために、アウトソーシングが必要である。多くの企業はこのように考えています。

しかしながら現状、効率的なアウトソーシングを実現している企業は決して多くはありません。理由としては、アウトソーシングする目的が明確ではなかったり、アウトソーシングすることで余計に業務が複雑になったりすることがあるからです。

とある企業が外部にアウトソーシングし、その依頼された企業もまた別の企業にアウトソーシングし……を繰り返していった結果、「ピラミッド構造」が出来上がってしまった例もあります。

より小さな会社に業務を丸投げした結果、丸投げされた会社はその業務を抱えきれず、また違う会社により安い単価で依頼していきます。最後に依頼された会社は、業務量が多い割に利益があまり得られなくなってしまいます。こうしたアウトソーシングのピラミッド構造は、現在Sler業界において問題となっています。

一方でアメリカでは、大手企業におけるアウトソーシング戦略の成功例が数多く見受けられます。現在あらゆるビジネス部門がアウトソーシングの対象となっております。アメリカでは1980年代からアウトソーシングが注目されており、長年の蓄積がある故に成功確率が高くなっていると推測されます。

日本でアウトソーシングの成功させるには、委託会社とwin-winの関係を築けるようにすると共に、アウトソーシングを組み込んだ効率的な業務フローを作成することが求められてくるでしょう。

アウトソーシングの今後

今後アウトソーシングは更に重要性を増してくると推測されます。特に人工知能やロボットの台頭により、業務の自動化が進んでくるでしょう。そう言った高度な機械を自社では導入できなかったり、扱えるスキルを持った人材がいない場合、アウトソーシング化することで人工知能を活用可能にするのが求められます。

現在アウトソーシングには様々な問題点がありますが、トライアンドエラーを繰り返していくことで改善されていくものもあるでしょう。また、品質向上や業務の効率化を図るためには、アウトソーシングは避けて通れなくなることも考えられます。

アウトソーシングの種類

どんな種類が?

アウトソーシングには、具体的にどんなものがあるのかをご紹介しましょう。アウトソーシングした方が良いもの、良くない業務がありますので、見極めることが肝心です。全てを紹介することはできませんが、ここでは代表的な4つの種類をご紹介しましょう。

  • 電話代行
  • 経理代行
  • IT業務化代行
  • 電子化代行

電話代行

電話対応は飲食店など、電話に出られない場合が多い所で使われていることが多いです。自社の電話を代行会社に転送することで、電話業務はアウトソーシングすることができます。

ともすれば煩雑になりがちな電話業務は、アウトソーシングに向いていると言えるでしょう。電話業務には、以下のようなものがあります。

  • クレーム処理
  • 通販
  • 受付
  • コールセンターの運営

電話業務は、時期によって多忙な時期とそうでない時期の差が激しい業務です。このため電話業務を中心として行なう社員を雇うのが難しい場合があります。また、中小企業では社員で電話対応の教育がしっかりと行えてない場合も多いでしょう。電話対応が悪いと企業の印象にも関わってくるにも関わらず、そこまで手が回らないことも多いです。

電話業務を他社に代行することで、これらの問題点を解決することができます。優れた代行会社は、顧客への電話対応レベルが高く、企業のイメージアップにも繋がります

経理代行

経理代行は個人事業主やベンチャー企業などで利用されていることが多いです。経理作業はミスが許されない業務であり、専門知識を持たない人には少々荷が重いことがあります。素人がやると時間がかかることも多く、本業に割ける時間が少なくなってしまうことも多くあります。

経理業務を代行することで、専門家が素早く正確に対応してくれるようになります。経理代行には、主に以下の種類のものがあります。

  • 記帳業務
  • 給与計算
  • 確定申告
  • 年末調整

記帳とは、業務に関わる入出金を記録することです。確定申告の際に必要となる資料を作成するのは面倒な作業であり、代行を依頼する人が数多くいます。その他給与計算や年末調整も煩わしい作業であり、本業に集中するために経理代行を利用することは効果的です。

これら4つ全てをアウトソーシングすることは珍しく、通常はどれか一部を代行会社に依頼することになります。経理を代行する場合、経理代行会社に依頼することもできますが、税理士事務所に依頼した方がより確実なサポートを受けられることが多いです。確定申告などは税理士事務所でなければ、法律上代行させることができません。

IT業務代行

IT業務をアウトソーシングしている企業はとても多いです。IT業務のアウトソーシングは、自社にITスキルを持った人材が不足している場合に有効です。

IT業務に精通した専門家が、以下の業務などを行ってくれます。

  • サーバー設置
  • ネットワーク環境構築
  • PCや複合機の修理
  • PCデータのバックアップ

どれも、自社で行なうにはハードルの高いものばかりであり、IT業務のアウトソーシングはメリットが大きい場合が多いです。

また、IT業務代行には以下の4つの形態があるとされています。

  • フルアウトソーシング
  • 運用アウトソーシング
  • ハウジング
  • ホスティング

フルアウトソーシング とはIT業務の全てをアウトソーシングするやり方です。全て他社がやってくれるため、自社の負担が最も少なくなります。代行会社とシステムの仕様をよく検討し、ずれを無くしていくことが肝心になってきます。

運用アウトソーシング とは、インフラの整備のみをアウトソーシングするやり方です。例えばネットワーク環境の構築のみを依頼したり、などです。普段の業務を快適に行なうために活用していきます。

ハウジングは、自社のサーバーを設置する場所を借りることです。これはあまりアウトソーシングとは言えないかもしれません。サーバーの運用・保守までも代行してくれる会社もあり、ここまでやってくれて初めてアウトソーシングと言えるでしょう。

ホスティングとは、レンタルサーバーを利用することを指します。サーバーを自社で建てると、運用費がかかってしまうので、レンタルサーバーを借りる企業は多くあります。レンタルサーバーは無料で借りることもできますが、無料サーバーは主に個人のブログやサイトで使われるもので、企業向けではありません。無料サーバーは、独自ドメインが使えなかったり、運用が不安定だったりするため、必ず有料サーバーを使いましょう。

電子化代行

社内の業務マニュアルや資料が貯まってしまい、整理ができていない場合は電子化代行がおすすめです。資料を電子化することで社内の書類スペースもすっきりとします。

電子化することには他にも、

  • 印刷のコストが削減できる
  • 資料をどこでも閲覧できる
  • 資料が劣化しない
  • データベース化できる

と言ったメリットがあります。

しかし電子化を自社で行うのは非常に大変ですし、機材を購入するコストもかかります。そのため、他社にやってもらう方がコストがかからない場合が多いです。

また、電子化をアウトソーシングすることで、資料を電子化してくれるだけでなく、様々なオプションを付けてもらえます

オプションの例としては資料を読みやすいように纏めてくれることです。ただ電子化してもらうだけでなく、後で検索しやすいように整理してくれるのです。また電子化代行会社は品質の高いスキャナーを所有しているため、電子書類が高いレベルで仕上がります。OCR処理が出来る人材がいることも多く、画像に映った文字をコピー&ペーストしたり、テキストデータとして活用することも可能です。

電子化代行は今ニーズが高く数多くの代行会社が存在します。中には1ページ10円以下で行ってくれる場合もあります。少ない冊数であれば機材を買うより、代行会社にお願いした方が安くなることもあるでしょう。

注意点としては、電子化代行は情報漏洩の心配もあります。管理ミスや不正な持ち出しで、社内情報が外部に漏れた例は過去にあります。できるだけ信頼できる代行会社を選ぶようにするのが肝心です。

アウトソーシングのメリット

業務の品質を高める

ここからはアウトソーシングのメリットについて解説していきます。
アウトソーシングのメリットは以下のようなものがあります。

  • 本業の品質を高められる
  • 人件費の削減
  • 専門的な能力を活用できる
  • 退職によって業務が滞るリスクがなくなる

本業の品質を高められる

アウトソーシングすることで、より本業に集中して取り組むことができます。作業時間にも余裕ができる他、煩わしい業務をやる必要がなく、ストレスのない環境で働くことで品質を高めることができます。

優秀な人材に本業以外の業務をさせると、より力を発揮できる企業に転職したいと思うようになるかもしれません。このため、煩雑な作業をアウトソーシング化させるのは、優秀な人材を確保する上でも重要になります。

人件費の削減

アウトソーシング化すると作業に余裕ができ、新しく人材を雇う必要がなくなる場合もあるため、人件費の節約にも繋がります。また月に数回しか発生しない業務などは、ワザワザ新しく人材を雇うとコストに見合わなくなってしまいます。

アウトソーシングを上手く行えば、アウトソーシングにかかる費用以上に人件費を削減することもできるでしょう。そうなればアウトソーシングの目的は果たせたと言っても良いです。

またIT業務や電子化代行など高度な業務をアウトソーシング化すれば、教育費がその分かからなくなります。社員を教育させるためにセミナーに通わせたり、勉強会を開いたりする必要がなくなります。その分社員のスキルが向上しないという問題もありますが、これについては後述します。

専門的な能力を活用できる

自社で行なうよりも、プロフェッショナルが集う専門会社に依頼した方が、高い品質で仕上げることができます。特に最近では人工知能など、より専門性のあるジャンルの需要が増してますので、それらをアウトソーシング化することは重要になってくるでしょう。

また電子化を代行する場合は、OCR処理やPDF化などプロでなければ難しい作業も行ってくれます。費用よりも高品質さを第一に考える場合は、プロに依頼するのが確実と言えるでしょう。

退職によって業務が滞るリスクがなくなる

退職者が出てしまうと途端にその業務が滞ってしまいます。新しく人材を雇おうにも、それまで時間がかかることもあるでしょう。そういった際は業務をアウトソーシング化させる良い機会かもしれません。

業務を代行すれば、退職者が出ても業務が止まるリスクをなくすことができます。もちろん依頼した企業で退職者が出る場合はあるでしょう。しかし、企業は指定した納期には間に合わせようとしますし、新しい人材を確保するためのメソッドが確率している場合も多いので、心配はいりません。

アウトソーシングのデメリット

注意すべき点

アウトソーシング化は良いことばかりではありません。アウトソーシングを導入することで、返って損をしてしまうこともあります。

よく取り上げられているデメリットには、以下のものがあります。

  • 社内にノウハウが蓄積されない
  • 費用がむしろかかることもある
  • 社内情報の漏洩の恐れがある
  • 依頼する会社によって品質に差がある

社内にノウハウが蓄積されない

アウトソーシング化すると、確かに自社の負担は減ります。しかしその反面、社内にノウハウが蓄積されないというデメリットはあります。

ノウハウが蓄積されないと、いつまでも他社にやってもらうしか手段がありません。すると他社でやってもらう程ではない小さな業務を、自社でできなくなることもあるでしょう。

費用がむしろかかることもある

自社で行なうと人件費がかかる上、機材を購入したりしなくてはならないため、アウトソーシング化したほうが安上がりなことは数多く存在します。その逆で、アウトソーシング化した結果、かえって費用がかかることもあります

業務内容によっては追加料金なども発生してしまい、費用がかさんでしまうことは良くある話です。費用をかけた割には、そこまで成果を得られない場合も少なくありません。

こうしたことを防ぐためには、どの部分をアウトソーシング化するとより効率化されるのか見極めることが肝心です。費用と成果を見比べ、自社にとって得かどうかを定期的に見直す機会を設けると良いでしょう。

社内情報の漏洩の恐れがある

アウトソーシングした場合、個人情報や社内資料などのデータは他社の手に渡ってしまいます。代行会社のセキュリティがしっかりしていない場合は、その情報が漏洩する危険性もあります。情報漏洩を防ぐためには、実績があり信頼できる企業を選ぶことが肝心です。

依頼する会社によって品質に差がある

依頼する会社によっては、期待以上の品質で仕上げてくれることもあれば、そうではない場合もあります。ときには依頼金に見合わない成果を出されることもあるでしょう。場合によっては自社で行った方が質が高くスピードも早かったということもあります。

このため、依頼する会社の良し悪しはしっかりと見極めることが大切です。アウトソーシングする会社を選ぶときは、以下の4つの基準を総合的に満たしているかどうかで判断しましょう。

  • 契約金が安い
  • 納期をちゃんと守れる
  • 会社に実績がある(数値的に判断)
  • その会社が信用できる(口コミ等で判断)