本のページを数えるだけなのに…
スキャニング業界は、おおよそどこもスキャンするページ数でお見積り価格を算出することになっています。
そのままスキャンでは(書籍の場合)A4サイズ以下/より大きいかで金額が変わってくるので、それぞれのサイズが一体何ページあるのかを正確に数え、それにOCR処理等オプションを合算した金額をお出しする形となります。
たかがページを数える作業とは侮れず、これが慣れていないと非常に大変な作業なのです…単純なスキャニングや画像加工のスキルだけでなく、このページカウントがどれ程重要で困難な作業かご紹介しましょう。
目次
ページカウントが大変なワケ
これだけ電子書籍が普及した今でも、紙媒体を全く読まないという方はほぼいないでしょう。思えば小さい頃の図鑑や絵本に始まり、人類皆紙の本と共に成長してきました。人生振り返ればめくったページなんて何万何十万という数字。数えるだけなら訳ないと思われがちですが。
バラバラのページサイズ
例えば週刊少年ジャンプはA4サイズが基本ですが、時々特典として1枚だけポスターが付いてくることありますよね。このポスター、大概A4よりは大きなサイズになりますからA4とは別にカウントしなければなりません。スキャナーにはそれぞれ対応可能なサイズに限界がありますから、それによって使用するスキャナーが変わってくることもあります。
そのため、例えば総計400ページとし、うち2枚だけA3サイズが混ざっていた場合
- A4:398ページ
- A3:2ページ
とページ毎に総数をカウントする訳です。この作業、本が一冊二冊なら特段苦労はありませんが、問題は数十冊に上るケース。
そのままスキャンには、時々数十冊という量の学会誌や合本の電子化をご依頼いただくことがあります。
学会誌の場合毎号レイアウトやサイズはある程度決まっていますが、資料として挿入されているA3サイズのページ、この枚数は毎回イレギュラーでどこに挟まっているかも決まりがありません。これを限られた時間内で正確に数えようと思うと物凄い経験値が必要なのです。
そのままスキャンで勤務を始めて間もないころ、とある機関の方からお見積り依頼として300冊ほどいただき、私も20冊ほどページカウントのお手伝いをしたことがありました。以前イベント関係の会社でマニュアル作成などしていたのでページカウントには自信があり、落ち着いて正確に数えていたつもりでしたが…
実に半分近くのカウントを間違ってしまいました。えぇあんなに注意して数えてたのに…と落胆している私をよそに、スキャン担当は機械的な正確さと速さで見事正確なページ数を算出。プロって凄いんだなと感嘆した思い出があります。
飛び飛びのノンブル
ページサイズ以上に難敵なのがノンブル。
実は、ノンブル=実際のページ数ではありません。書籍のレイアウトやデザインによっては番号が無表記であることが度々発生し、これはノンブルが省略されているだけなのか?はたまたノンブル無表記のページ=番号には含まれないのか?というルールが、発刊者の意向次第で自在に変わるのです。
もちろん『この書籍のノンブルはこういうルールで…』という注意書きなんてありませんから、書籍をカウントしていく中で気付かなければならないことです。目次見ればいいじゃんと思うかもしれませんが、これもノンブルを飛ばすタイプ(=ノンブル無表記のページはノーカウント扱い)の場合はNGとなります。
究極的にはノンブルが一切無い書籍だってあります!ここまで来ると頼れるのは指先の感覚と熟練の技で、素人はお手上げ…
なぜ正確なページ数が重要か
ちなみに『何故正確なページ数を算出する必要があるのか』という点について補足ですが、一義的にはもちろん間違いのない正確なお見積り金額を算出するため。
一方作業が始まった後に大きく響いてくるのがスキャン担当者への作業量の割り振りです。例えば総ページ数1万ページのご依頼を5人で対応していたら、作業を進めていくうちに実は1万2千ページだったことに気づいた…なんてこと起きれば、たちまちディレクターは各担当者へのアサインを見直す必要に迫られます(※電子化のディレクションについては後日詳しくご紹介しようと思います)。
通常のマネジメント同様、それぞれスキルや得意分野、経験値に差があるスキャン担当にどう仕事を任せるかは重要事項であり、仮に1冊2ページの誤差でも200冊集まれば計400ページのズレ。金額の見直しは勿論工程の算出も再考しなければなりません。
そうなると納期もどんどんズレていき、新しい電子化依頼が舞い込み…カウント作業がいかに慎重さを求められるかお分かりいただけるでしょうか。
電子化=効率性ならば
今回はページカウント時の注意点2つをご紹介しました。
とにかく数を重ねれば高速で出来るようになるかも知れません…が、あるスキャン担当曰く『高度な慣れが必要だが早く正確に数えられる方法』があるそうで、実際見せて貰ったものの一体何が起こっているのか分からない数え方をしていました。なるほど、単純に数を重ねれば良いという訳ではなさそうです…
コンテンツを素早く検索出来るようにしたいとか、紙媒体の管理費を抑えたいとか、どのデバイスでも閲覧出来る体制を作りたいとか、書籍電子化の動機には効率性が大きく関係してくると思います。しかし効率的なツールを作成する段階で非効率なこと、例えば慣れていない人がローペースでページを数えたり、逆に早すぎて大きなズレが生まれてしまっては元も子もありません。
電子化は正確さとスピードを兼ね備えた、本当に効率的に対応出来る者にお任せするのが良いでしょう。
ページはこっちで数えるので…
そういえば、お客様からお見積り算出のご依頼を頂く際はそのままスキャンまで書籍をお送りいただくことをお勧めしています。お客様によってはご自身で数えていただける方も多く、その点はとてもありがたいのですが、上記の通り正確にカウントする場合非常に時間がかかり、お客様の本業に支障が出てしまいますよね。
そのままスキャンではスキャニング担当は勿論、お見積りを算出するディレクターや営業、更には弊社代表の山本までほぼ全員がページカウントを得意としています。本棚の書籍を丸ごと電子化したい方はそのまま送ってください。一冊ずつ丁寧に(サイズも分けて)数えさせていただきます!
痛んだ書籍をそのまま送ったら美麗な画像になって帰ってきた!その感動を是非、体感してください。
貴重書籍を傷つけずに電子化するサービス
- 専用の非破壊スキャナーで傷つけずにスキャニング
- 書籍ほか図面、絵画、契約書、ガラス乾板まで対応可能
- 公共機関や大学様の実績多数
- スピーディな作業で急ぎの電子化もOK