「破壊スキャン」とは?非破壊スキャニングとの比較
本記事では「破壊スキャンとは何か?」について解説します。破壊と言うと何やら物騒な意味に聞こえますが、本記事で紹介する破壊スキャンは、若干意味合いが異なってきます。
破壊とは、本の電子化、に関する言葉でもあるのです。
本記事では、破壊スキャンとはどういう意味なのか、破壊スキャンのメリット・デメリットは何なのか、について詳しくまとめました。また、破壊スキャンとは対称的な「非破壊スキャン」についても、合わせて解説していきます。
本記事を読むことで、本の電子化に関する知識が、また1つ深まっていくでしょう。
目次
『破壊』とは?
まずは、本記事で紹介する「破壊」とはどういう意味なのか、について説明します。なぜ、「破壊」する必要があるのか、そして、破壊する方法は何なのか、についてくわしく解説します。
「破壊」ってどういう意味
破壊とはすなわち本を裁断して電子化する行為のことを言います。いわゆる「自炊」と呼ばれるもののことです。
昨今、電子書籍がブームとなり、紙の本を読むよりもパソコンやスマホを使って読みたい人が増えてきました。紙の本は場所を取ってしまい不便だと感じる人も多いです。
そういった背景があって、手元の紙の本をスキャナーでスキャンし、パソコンなどで読めるようにする人が増えてきたのです。一般的に、本をスキャンするには、ページを読み込ませるために裁断=破壊しないといけません。
だから自炊のことを「破壊」などと呼んでいるのです。
なぜ本を破壊する必要があるのか
「なぜ本をバラバラにするの? そのままでスキャンできないの?」
こんな疑問を持つ方も多いと思われます。わざわざバラバラにしなくても、ページを開いてスキャナーに読み込ませれば良いだけの話に思えます。
だがしかし、本を破壊せずにスキャンするのはかなり難しいことです。
本を開いてスキャナーに読み込ませようとすると、本を強く機械に押し付けて、ちゃんと開いた状態にしておかないといけません。しかし、ちゃんと押し付けたとしても、ページの真ん中部分はスキャンできず、真ん中に影ができてしまうことがあります。
影ができても良い人もいるのかもしれませんが、いざパソコンで読もうとするとどうしても影が気になってしまいます。本の電子化を行う人は、そういった細かい所に気を配りたい人が多いです。
また、本によってはページの真ん中部分までぎっしり文字やイラストが書かれている場合もあり、そうしたものが見えなくなる恐れもあります。
そのため、本を破壊してからスキャンした方が、電子化したときの仕上がりが良くなるのです。更に、本を強く押し付けすぎると傷んでしまう場合もあり、だったら破壊してしまった方が良いという方が多いです。
他の理由としては、破壊した方が素早くスキャンできる、ということが挙げられます。一見すると破壊する方が裁断する手間がある分、作業が遅れるのでは? と思うでしょう。しかし最近の性能の高いスキャナーは、5,000ページ以上スキャンができるので、まとめて一気に行えるのです。なお破壊スキャナーについてはそのままスキャンでも1台だけ使用しており、こちらの記事で性能について詳しく解説しています。
破壊しない場合ですと、1ページずつスキャンしていくしかありません。だから破壊した方がスキャンスピードが上がり、作業時間が短縮されます。
こういった理由もあって、自炊のときは本を破壊する場合が多いです。
本の破壊(裁断)方法
本を破壊する方法について説明します。本を破壊する方法は、カッターナイフを使う方法と、裁断機を使う方法があります。
カッターナイフ
カッターを使う場合は指を怪我する恐れがありますので、慎重に力を入れて破壊する必要があります。また、床やテーブルを傷つける恐れもありますので、カッターマットは必ず用意しておいてください。
カッターを使う方法だと、お金がかからなくて済みますが、いかんせん時間がかかってしまいます。また、うまく切ることができずに、汚くなってしまうリスクもありますので、あまりおすすめできません。
裁断機
カッターよりも裁断機を使う方が効率的と言えます。自炊代行業者や電子化の業者も、一般期に破壊する際には裁断機を使用しています。
裁断機とは、目盛りがついている作業台の上に10cm程度の刃が乗っていて、レバーを操作し刃を動かして本をカットできる機械のことです。裁断機には電動タイプと手動タイプがありますが、一般家庭向けのはだいたい手動タイプとなっています。
裁断機は1万円未満で購入できるものから、4万円ぐらいかかるものもあります。お金がかかってしまうというのと使った後に置く場所に困るというデメリットがありますが、カッターよりも遥かに安全で素早く、そして綺麗に裁断できます。
使い方としては、まず裁断機のカバーを外して、本を裁断機にセットします。そして裁断機の設定を確認・変更した後に、レバーを操作して刃を動かします。基本的にはこれだけで、本を破壊することができます。
ただ、本のサイズ的に裁断機に入り切らない場合、結局カッターを使って納まるように切る必要があります。また、裁断している間、順番がわからなくならないよう注意することもお忘れなく。
裁断した後は、スキャンする必要のない白紙のページなどは取り除いておきます。裏表紙なども不要ならば取り除きましょう。
ちなみに当ブログでは、以前『本を綺麗にスキャンするコツ』としてこちらの記事を公開しましたが、ここではカッターナイフと裁断機を両方活用することをお勧めしています。とにかく綺麗に電子化したい、という方はここで紹介している方法を実践してみてください。
スキャナーの選び方
裁断した後はページをスキャンしていきます。スキャナーの使い方はそこまで難しくありません。
スキャンの設定を確認し、本をスキャナーにセットします。後はスキャンボタンを押せば、スキャンは可能です。ただし多くのページをスキャンする場合は、適宜、給紙していく必要があるでしょう。
代行業者に頼まず自分で自炊する場合、予算に余裕があるならなるべく良いスキャナーを購入した方が良いです。原稿が斜めになっても、データの自動補正をしてくれるものが良いでしょう。また、wifi機能が搭載され、ワイヤレスにPCやスマホにデータが転送できると便利です。
破壊スキャン用のスキャナーには以下の3種類が存在します。
- シートフィードタイプ
- ハンディタイプ
- フラットベッドタイプ
それぞれ、簡単に見ていきましょう。参考までにそのままスキャンが使用しているプロ仕様のスキャナーにも言及します。
シートフィードタイプ
シートフィードタイプはローラーで自動的に紙を送りながら読み取っていくスキャナーになります。一度に大量の紙を読み込めるものもあり、自炊に適しています。ただしローラで読み取っていくため、分厚い原稿は読み込めないのがデメリットです。
そのままスキャンでは、主に大きな図面を読み込む際に使うWide Tek(R) 36という大きなシートフィードタイプを所有しています。やはりペラ物が得意な機種ですね。
ハンディタイプ
ハンディタイプは、本体を手にとって原稿を上からなぞって読み込む方式のスキャナーです。とても小さいので、置き場所にも困らないのがメリットです。
ただし1枚ずつしか読み込めないので、自炊に使うとなると時間がかかります。少ない枚数を読み込みたい場合にハンディタイプがおすすめです。
フラットヘッドタイプ
フラットヘッドタイプは、フラットヘッドタイプガラス面に原稿を置いて読み取っていく方式です。コピー機と同じような見た目をしています。フラットヘッドタイプも1枚ずつしか読み込めませんが、スキャンの精度が高く、繊細な色の表現にも強いのが特徴です。
そのままスキャンではブックエッジというスキャナーを使用しています。厳密に言うと弊社では非破壊スキャニングする際にも使うのですが、とにかくオールマイティに活躍する、弊社で一番使っていると言っても良いほど色々な書籍に対応できる素晴らしいスキャナーです。
「破壊スキャン」のデメリット
破壊スキャンのデメリットについてご紹介します。破壊スキャンを行いたい場合は、これらのデメリットを考慮した上で行いましょう。
原本を壊さなければならない
破壊スキャンをする場合、原本を完全にバラバラにしないといけません。プレミアがついている貴重な本や、思い出の本など取っておきたい本の場合なども同様ですので、それでは困る方も多いでしょう。
また漫画や小説ならともかく、社内資料や広報資料など重要な書類である場合、データだけはなく紙の書類も保存しておきたい所です。こういった書類も壊さなければいけないのはとっても不便です。
破壊スキャンにはまずこういったデメリットが存在します。
スキャナーに加えて裁断機を用意しなければいけない
自炊代行会社を利用せずに自分で破壊する場合、スキャナーだけではなく裁断機も用意しなくてはいけません。スキャナーだけで結構高額なのにその上裁断機も買わないといけないとなると、出費がかなりかかってしまいます。
特に本の冊数が少ない場合、「ワザワザ購入してまでやることだろうか……」と思ってしまう方も多いでしょう。
また裁断機は購入した後、置く場所にも困ってしまいます。裁断機は場合によっては1回しか使わないものですので、どこかにしまっておかないといけません。
一応スキャナーや裁断機はレンタルすることも可能です。場合によってはスキャナーと裁断機をセットでレンタルすることもできます。ただレンタル期間はそこまで長くない上に、送料もかかってしまうので、そこまでお得ではありません。
裁断にはコツがいる
本を裁断するのはコツがいりますので、初心者の方には少し難しいです。
裁断する際には接着面ギリギリで裁断せず、ある程度の場所で切る必要があります。接着面ギリギリで裁断すると、糊付け部分が残ってしまい、紙が重なってしまう恐れがあります。
また、初心者にありがちなミスで、本に何か挟まっていてそのまま切断してしまうことがあります。特に付属されたCDは挟まったままになっていないか、確認しておく必要があるでしょう。
裁断に失敗してしまうとやり直すことができないので、慎重に行わないといけません。
「非破壊スキャン」の紹介
ここからは「非破壊スキャン」について述べていきます。
非破壊スキャンとは、破壊スキャンとは対照的な自炊方法となります。いったいどういう方法でスキャンを行うのか、見ていきましょう。
非破壊スキャンとは?
非破壊スキャンとは、本を一切破壊することなくスキャンする方法です。
本を裁断することなく、本を開いた状態にしてスキャナーに読み込ませていきます。先程破壊スキャンの項目で「本を開いた状態でスキャンすると、真ん中に影が残る」と書きましたが、非破壊スキャンではその対策として別のスキャナーを使っていきます。
非破壊用のスキャナーは本に歪みがある状態でも、なるべく綺麗にスキャンできるような機能が備わっています。スキャナーの性能だけでなく、様々なスキルを駆使して綺麗に自炊できるようにしていきます。
また、破壊スキャンでは5000ページ以上まとめてスキャンすることもできましたが、非破壊では1ページずつスキャンすることになります。
非破壊スキャンで使うスキャナー
非破壊スキャンで使うスキャナーは、通常のスキャナーとは性能が異なります。
非破壊スキャンでは、読み取り面に書籍のノドを嵌めることで、本の歪みをおさえることができます。さらには、ページの歪みを付属の画像処理ソフトウェアで補正することができます。また、サイドライトを搭載することによって、照明が移り込んでしまうような事例でも上手くスキャンしていきます。
このように非破壊用のスキャナーは高性能であるため、通常よりも高価格であることが多いです。
破壊スキャン用のスキャナーは3種類ありましたが、非破壊スキャンでは「オーバーヘッドタイプ」という1種類のみが主に使われます。オーバーヘッドタイプは非接触型のスキャナーであり、平置きにした本を離れた位置からスキャンする方式を取ります。
非破壊スキャンのメリット
非破壊スキャンのメリットは、本を破壊することがないことです。貴重な本や思い出の詰まった本などを傷つけなくても良く、紙の状態でも綺麗に保管することができます。また、購入した本をバラバラにすることに罪悪感を覚える人も多いので、非破壊の手段があるのは有り難いことですね。
また、裁断機を用意しなくても良いというのも大きなメリットです。先述したように、裁断機は購入すると置き場所に困ることも多いです。
加えて裁断するときに失敗してしまうと、やり直すことができません。先程も解説した通り、裁断にはコツがいるため、初心者には難しいのです。
非破壊スキャンのデメリット
一方で、非破壊にはデメリットもいくつか存在します。
時間と労力がかかる
まず、1ページずつめくって、スキャンしなければならないことです。
自炊代行業者を使わないで自分で行う場合、かなりの労力を費やします。実際、途中で嫌になって諦める人は多いです。また、途中でスキャンし忘れてページが抜けてしまうこともあるかもしれません。
本がたくさんある人は、1ページずつ集中してずっとスキャンしていくのは、非常に大変です。また自炊代行業者を使う場合においても、手間がかかる分破壊スキャンよりも高額になってしまう場合が多いです。
値段が高い
非破壊スキャン用のスキャナーはとても高額です。裁断機を買わなくて良いとはいえ、スキャナーが高額だったら値段は一緒になってしまいます。
少し極端な例ですが、そのままスキャンで使用している非破壊スキャナーは一般の方でも購入することは出来るものの、値段は正直言ってコンシューマー向けではありませんね。
非破壊スキャニングは「そのままスキャン」
ここまで非破壊スキャンのメリットとデメリットを紹介してきました。非破壊スキャンは、本を傷つけなくて良いという点は素晴らしいですが、自分で自炊するとなると面倒な点や難しい点が多い印象です。
そこまでおすすめしたいのが、本を裁断することなくそのまま電子化するサービス「そのままスキャン」です。
非破壊スキャンタイプの自炊代行業者かと思われるかも知れませんが、単なる自炊代行ではありません。
まずそのままスキャンでは、漫画や小説といった他人の著作物である書籍のスキャンはお断りしています。実は自炊代行は著作権違反となる可能性が高く、実際に裁判になった例もあるのです。合法的に自炊代行依頼をするためには、著者に許可を取ってからにする必要があります。
しかしながら、世の中には作者の許可を取ることなく自炊を代行している業者があります。そのままスキャンはそうではなく、そもそも権利者に無許可の著作物は一切対応しません。そのままスキャンが扱うものの多くは、会社の記念誌や社内報、学会誌といった資料です。
またそのままスキャンでは、単なるスキャニングだけではなくOCR処理のサービスも行っています。OCR処理とは、画像内に書かれた文字を認識し、テキストデータとして活用ができるようにする技術のことです。この技術や使用ソフトへの深い知識から、そのままスキャンでは様々な資料に対して最適な形でOCR処理を施すことができます。
加えてそのままスキャンでは、スキャンが完了したデータを入念に校正しています。このような対策を取っているため、そのままスキャンは精度の高いデータを提供することができているのです。更には、スキャンしたデータをExcel化したりEPUB化したりといった対応も可能です。Excelに読み込ませれば、資料に書かれたデータを様々な角度から分析することができます。
もし、社内資料を電子化したいものの、「時間もないし、スキャナーもオフィスにない……」という場合は、そのままスキャンをご利用ください。そのままスキャンならプロフェッショナルがスキャンするので、精度の高いデータを作成することが可能です。
貴重書籍を傷つけずに電子化するサービス
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