ビジネスインテリジェンス(BI)とは?
ビジネスインテリジェンス(BI)という言葉を聞いたことがありますか?企業を経営する上で重要となるBIは2019年現在、国内において普及が進んでいます。
本記事ではBIについて概要からメリット、代表的なBIツールについて説明します。
目次
BIとは?
国内で普及が進んでいるBIとは具体的に何を意味するものなのでしょうか?この章では気なるBIについて説明します。
経営の意思決定に役立つ手法
企業は経営を運営していく中で多くの情報を蓄積していきます。その情報を参考に今後の経営方針などの意思決定を行っていくわけですが、情報が多ければ多いほど情報整理に時間がかかり、意思決定が遅くなるもの。
BIは企業が蓄積した多くの情報を収集・管理してから分析することによって、経営における意思決定を支援する手法や技術です。効率的かつ正確に情報を解析することができるため、客観的な視点で情報を見ることができ、思い込みなど主観的な視点を取り払って正確な経営方針を決定することができます。
BI=BIツールを意味する
BIはあくまで経営の意思決定を行うための手法ですが、BIを実現するためには専用のソフトウェアを使うことが大半です。BIを支援するためのソフトウェアのことをBIツールと呼びます。BI=BIツールを使用して行うものという認識が広がり、現在ではBIという単語はBIツールを意味していることがほとんどです。
BIツールはどういうものなのかというと、経営を行う上で発生する大量の情報をデータ化して収集・分析・管理することを目的としたソフトウェアです。管理しているデータ同士から相関関係を見つけ出す、レポートを作成する、データをわかりやすく表示するなど様々な機能が搭載されており、手法としてのBIをスムーズに実行するための支援を行います。現在のBIはBIツールの存在が必須であるといっても過言ではないでしょう。
BIとBAは何が違うの?
経営の意識決定を支援する方法はBIの他にもビジネスアナリティクス(BA)というものがあります。BIと字面が似ており、企業の情報を活用するという役割からBIとBAを混同してしまいがちですが両者には明確な違いがあります。
具体的にはBIは現在の情報を分析することで意思決定の速度を向上させることを主な目的としているのに対して、BAはBIの分析結果を利用して将来予測を行い、予測結果を用いて確実な意思決定を行うことを目的としている点が異なります。つまりBIは現状を分析し、BAは将来を分析するのです。
誕生の背景
BIはなぜ誕生したのでしょうか?ここではBIの歴史を紐解いていきましょう。
初めてBIという言葉が誕生したのは1958年。IBM研究所で研究員をしていたハンス・ピーター・ルーンによって「目標達成に向けての行動をガイドし、現状で存在する事実による相互関連性を把握しておく能力」と定義されました。
1960年代になるとBIは意思決定支援システム(DSS)を担うパーツとして広まり、1980年代にかけて発展してくことになります。1890年にハワード・ドレスナーがBIの専門家しかデータの解析ができないというデメリットを解消して、「誰でも使える意思決定支援システム」として再定義したことにより、1990年代後半までBIはこの意味合いで普及しました。
現在では先の章で説明したようにBIはBIツールを表す言葉になっています。
BIのメリット
「経営の意思決定を行う上でBIは便利」と言われても具体的なメリットがわからないと使用する気は起きませんよね。ここではBIを使うことで得られるメリットを紹介します。
Excelではダメな理由
BIのメリットを説明する前によく考えられる「データの収集や分析ならばBIツールを使わなくてもExcelで管理すれば良いのでは?」という疑問を解決しておく必要があるでしょう。
Excelは表計算ソフトですが、データの並び替えが簡単に行えて関数を使用することによってデータの抽出も行えるなどデータベースソフトとしての側面も持っています。Excelを使いこなすことによってデータ分析も行えますね。
しかし、BI専用に作られたソフトではないため、例えばBIツールの主機能であるレポート作成をExcelで行おうとするとどうしても工数がかかってしまいます。そしてビジネスは時間との勝負でもあるため、少ない工数で多くの仕事をこなすことは重要です。
また、経営の意思決定に必要となる情報は膨大になりがちです。Excelは大量のデータを取り扱うには不向きであり、意思決定スピードを高速化するための手段として定義されたBIで使用するのは向いていません。Excelでデータが大量に入っているファイルを開くのに多くの時間を費やした経験は、日常的にExcelを使用している方は誰もが経験したことがあるはずです。
主に工数とスピードの面でExcelはBIツールと比べて大幅に劣ってしまうのです。
分析結果を簡単に作成
経営を行う上で売上情報や顧客情報、前年度比などの分析は欠かせない要素です。これらの情報はデータが多くなる傾向があり、ExcelなどBI専門外のソフトではとても行うことができません。
一方、BIツールではデータの分析が容易であり、データベースから抽出して結果を簡単にレポートへ出力することができます。社内で行われる経営会議では資料としてのレポートが必須です。手作業で行うと作成に時間がかかってしまうレポーティング作業もBIを使えば迅速にデータをアウトプットしてくれます。
データを可視化
データは集計表やグラフにすることで可視化できます。BIツールにも表やグラフ作成機能はついており、かつ一歩踏み込んだ機能があります。それがダッシュボードです。
ダッシュボードでは、作成したグラフや表を一つの画面にまとめて表示することができ、データ同士の相関関係の調査やデータの対比を行うことが可能。ダッシュボードの操作はマウスだけで操作できることが多く、誰でも簡単に作成することができます。
データを色々な角度から分析
BIツールにはOLAP(オンライン分析処理)という機能が搭載されています。これはBIツールに内包されているリレーショナルデータベースに蓄積されている膨大な量のデータを多次元的に分析や集計を行うことで、すぐさま結果を確認できます。
オンライン分析処理の「オンライン」とはネットワークのオンラインではなく、すぐにレスポンスを返すことができることを指しています。つまりOLAPでは「オンライン=リアルタイム」という意味合いになるわけですね。
OLAPはデータサイエンティストを代表するデータ専門職じゃなくても扱えるように作られているため、慣れれば誰でもデータ分析が可能です。
データの傾向を知ることができる
BIツールでは、データマイニング機能を使うことによってデータの相関分析をはじめとした統計分析を行うことが可能。データマイニング機能を使用することによって、例えば自社の商品が売れる傾向やパターンを見つけ出すことができます。
ただし、データマイニングを有効に使うためには統計学の知識が必要になるため、レポートやダッシュボードに比べると誰でも使える機能ではなく、学習が必要になります。
数字が絡む意思決定を補佐
予算や投資を代表する数字が絡む経営要素の意思決定に最適なのがプランニング機能。過去のデータを参照することによって的確にシミュレーションし、適切な数字を算出します。例えば予算配分を機械的に処理することによって、ヒューマンエラーを防止することができます。
導入事例
BIツールの使用することにより、工数の削減や意思決定のスピードを向上させることができることがわかりましたが、導入している企業はどのように運用し、恩恵を受けているのか気になりますよね。
そこで、有名企業でBIツールを導入している2社の事例を紹介します。
福助株式会社
福助株式会社は明治15年に創業してから130年以上靴下やストッキング、下着などを販売している会社で、特に福助足袋はロングセラーとして有名です。
導入前の課題
BIツールを導入する前、福助株式会社は40年近く運用していたホストコンピュータを新しい環境へ移植するためのプロジェクトに取り掛かっていました。このプロジェクトは非常に工数がかかることが予測されており、工数と開発期間の削減を目的として「基本的にはパッケージソフトを利用する」という方針のもと全体設計が進められました。
導入した理由
「モノ」と「お金」を管理するシステム部分に一番多くの工数をかけなければならないため、管理会計は工数と費用を抑える必要がありました。そのため、BIツールの採用を決定。導入するBIツールには「柔軟なデータベース結合によるシステム工数削減ができる」「段階的に導入可能」「費用対効果を確認しながら利用範囲を広げられる」という観点で選び、「Data Knowledge」を導入することになりました。
導入した結果
現場ではData Knowledgeのユーザー数は150名以上いて、ほぼ全ての部門で利用されています。利用者からは「使いやすくて感覚的に分かりやすい」「個別ニーズの一覧表といった欲しい情報を欲しいカタチで入手できる」など好評。BIツールは福助の情報システムにとって必須になっています。
【引用】:Data Knowledge導入事例-福助株式会社
象印マホービン株式会社
象印マホービン株式会社は大正7年に創業された会社で、魔法瓶や炊飯器をはじめとした家庭用調理器具から業務用炊飯器や保温ジャーをメインに製造。IH炊飯器とジャーポットに関しては日本国内1位の市場占有率を誇っています。
導入前の課題
基幹システムは約20年前に構築されたもので、市場やビジネスの変化へ対応できるようオープン環境へシステムの変更が必要になりました。そのため、従来使用していたBIツールの見直しが求められたのです。
導入した理由
BIツールを複数比較し、クオリティの高いデータ加工機能が実装されていること、CSVデータを利用したデータ処理など、柔軟に行えるデータ処理機能を持ち合わせつつ、コストパフォーマンス性に優れるという理由でData Knowledgeを採用しました。
導入した結果
会社全体で生産管理、販売管理、人事給与、会計など多くの分野でBIツールが活躍。積極的にデータ活用が行われ、象印マホービン株式会社の業務を今日も支え続けています。
【引用】:Data Knowledge導入事例-象印マホービン株式会社
活用されるビジネスシーン
BIが活用される代表的なビジネスシーンは「営業」「マーケティング」「経営」の3つのシーンです。この章ではそれらのシーンにフォーカスしてBIが活用されている具体例を紹介します。
営業管理
例えば法人向け業務改善ソフトを販売している会社の場合、顧客へのプレゼン資料にBIツールを使って資料にソフトを導入することによる業務改善率などに対する数値をふんだんに使うことによって説得力を持たせることが可能です。
マーケティング管理
例えば消費者向けの商品を販売している会社の場合、官公庁が公開している人口分布のデータをインポートとして、BIツールが持つ機能の一つであるヒートマップを使用すれば人口分布を可視化可能。
人口が多く分布している地域に対して集中的にパンフレットの配布、イベントの実施を行うことによって商品を購入する可能性がある見込み客の開拓が行えます。
経営管理
例えば営業担当がそれぞれ顧客リストを管理していて顧客の総数が不透明な場合、顧客リストをまとめてデータベースに投入。顧客リストを一元管理することによって総数をはっきりさせ、適切な経営方針の意思決定に役立てます。
BIツールの紹介
前章まで本来の手法を意味するBIやBIツールのメリットや導入した際の事例を説明してきました。ここでは2019年現在でよく使用されているBIツールを紹介します。
Data Knowledge
海外産が多いBIツールの中でも純国産BIツールであり、1987年のリリースから30年以上支持されています。利用者からの意見をフィードバックして都度改修を行ってきた経緯があるため、信頼性が高い点もポイント。
経営の実態が収められているデータベースからデータを抽出して簡単に多彩な分析レポートを作成することができるため、実態が見えにくい経営状況を見える化できます。
【参照】:Data Knowledge
Oracle BI
世界第3位の地位を持つ大規模ソフトウェア企業であるOracle社がリリースしているBIツール。
ExcelファイルやCSVファイルだけではなく、AccessやMySQLなど広く普及しているデータベースと連携することができ、操作もマウスで選んでいくだけという簡単設計。特別な技術がなくても連携作業が可能です。
大人数で使用することを前提に設計されているため、ユーザーインターフェースはわかりやすく、使いやすいと評判。
【参照】:Oracle BI
Google Data Portal
Google検索エンジンでおなじみのGoogleがリリースしているBIツール。以前はデータスタジオという名称でしたが、変更してGoogle Data Portalになりました。
GoogleがリリースしているBIツールだけあり、同社のサービスであるスプレッドシートやアナリティクス、Google広告、GoogleBigQueryと簡単にデータ連携できる点がポイント。もちろんほかのソリューションとも連携できます。
他にも無料で利用を開始できるため、BIツールを使いはじめる入り口にもなります。
【参照】:Google Data Portal
Power BI
Windowsを開発、リリースしていることで有名なマイクロソフトが提供しているBIツール。
プログラムの技術がなくても操作できる点がポイントで、ほかのBIツールでプログラミングが必要となるデータ分析もPower BIであればプログラムなしで行うことができます。ノンプログラマーでも簡単に行える点は嬉しいですね。
また、Windowsアプリ、クラウド、iOS、Androidと多くのプラットフォームでリリースされており、それぞれデータの共有が可能。そのため、社外にいる営業担当がスマホでさっとデータを閲覧するといったことも可能です。
【参照】:Power BI
Tableau
BIに特化したソフトウェア企業であるタブローソフトウェアがリリースしているBIツール。
ビッグデータに対応しており、1億行以上のデータを扱うことが可能です。Excelでは100万行が限度のため、いかに大容量のデータを扱えるかわかりますね。
また、チャートなど決められたフォーマットに対して設定された時間で自動更新ができるため、経営会議前に急いでチャートを前のデータから現在のデータに更新するといった手間が発生しません。
【参照】:Tableau
データ制作=スキャニングとテキスト化
書籍や書類など紙媒体に記載されている情報をBIツールに取り込み、データ分析を行う場合は紙媒体をスキャニングしてテキストデータをはじめとした非構造化データに対処する必要があります。
そのためにはスキャニングして紙媒体に書いてあるデータを抽出するOCRを使用しなければなりません。また、機械的にOCRを使っただけでは誤字が発生してしまうため、必ず人間の目を通して修正をかける必要があります。
弊社のサービスである「そのままテキスト化」 なら、スキャニング後に最高精度99.99%のExcel化を実現出来るのでBIツールでの利用に最適です。
まとめ
BIはもともと企業が経営の意思決定を行うために使う手法を指していましたが、2019年現在はBIツールと同義化しています。
BIを使用することによって、蓄積されているデータを可視化してレポート作成を早く確実に作成する、データを分析することで今後の経営方針の決定を補佐するなど、今まで手作業で行っていた作業を自動化することにより工数を削減して、早めの意思決定を可能にします。自動化することによってヒューマンエラーを防ぐこともできるため、一石二鳥と言えましょう。
2019年現在は様々なBIツールがリリースされていますが、Google Data Portalなど無料で使用できるものも存在するため、本格運用に値するか気軽に試すことできる点もポイント。社内で意思決定が遅いと感じているリーダーの方は、BIの導入を考えてみてはいかがでしょうか。