法人担当者が答える『結局、電子化のメリットは何でしたか?』

2018.09.29

そのままスキャンでは、これまで弊社をご利用いただいた法人さまの実績を沢山紹介しております。中にはインタビューという形で、実際の資料、ご担当者様をお見せしながら具体的なケースとしてお見せすることも少なくありません。

これまでインタビューを受けていただいた法人様やその書籍は本当に様々で、思いつく限りでも団体種別は株式会社、任意団体、非営利団体、博物館、財団法人など、資料タイプも記念誌、貴重書、機関紙、マイクロフィルム、原画・漫画、文化財などあらゆる方面でスキャニングさせていただきました。そのスキャニングについても破壊/非破壊スキャニング、電子化後のOCR処理(ここでもサービスが分かれます)、HTML化やInDesign化など色々です。皆様改めてお礼を申し上げます。

さて、一般的に電子化のメリットとして『資料の劣化防止』『ペーパーレス促進』『各種メディアでの活用』といった文言がよく聞かれますが、インタビューで伺ったお客様生の声からは、少し違ったお話を聞くことが出来ました。つまりペーパーレスや劣化防止といったマクロな目的より、もう少し現場目線のコメントです。

今回はせっかくなので、少しご紹介。電子化を検討されている方はご参考になさってみてください。

電子化して良かったこと 3選

いずれも実際に電子化したお客様から出たコメントをそのまま紹介していきます。

なお、これから紹介していく法人様のインタビューは全てこちらから読むことが出来るので、もっと読みたいという方はクリックしてみてくださいね。

①本をいちいち開かなくて済む

本を開く

OCR処理による検索の実現とも関係してきますが、どちらかというと『重さ・厚さ』で苦慮されていたのがあしなが育英会様でした。そのままスキャンが電子化させていただいた同会の書籍『交通遺児育英会20年史』は、ページ数1,300、厚さ5cm以上もある非売品の資料。中には同会の黎明期が記録されている為、広報対応として外部の方にお見せする機会が多かったようなんですが、毎回これだけのボリュームの冊子を持ち上げ、綺麗に一ページずつスキャンしてお客様に見せていたそうです…電子化したことで『みんなが持ち運べるようになった』と喜んでいただけました。

また、発行されている機関紙バックナンバーを電子化させていただいた杉野学園衣裳博物館様は、次のように話しています。

知りたい情報を探すために、毎回原本をめくらなければなりませんでしたので、電子化することにより資料の劣化を防ぐと共に、とても探しやすくなりました。

機関紙は広報資料の一つ。同博物館様の場合、多くの方に配布した一方『保存用』として保管していた原本は無かった為、冊子によっては破れていたりするなど状態は良くありませんでした。それでも参照することの多い博物館や創業者の歴史。たとえ広報資料でも、単に『本をめくる』という作業一つでさえいい加減に出来ないのが、貴重書を取り扱う上で大変なところです。

②資料を纏める機会になる

紙の山

企画書、開発資料などをスキャニングさせていただいた株式会社ゲームフリーク様のお話です。

過去の資料が必要になったときは、古株の社員に尋ねると「あの棚の中にあるんじゃないか」「あの人が持っているんじゃないか」という感じで、ガサっと出てきます(笑)
社員らは現在進行中のプロジェクトにかかりきりなので、過去の資料に目を向けている余裕もなく、整理されないままだった、というのが実情でした。

『ポケットモンスター』は、長きに渡って開発され続けているシリーズ。過去の資料を電子化して永久的に保存→迅速に情報を引き出し共有することが必要なのですが、その為に『電子化する資料』を纏めるという作業が発生する形となりました。皆さんの会社はいかがでしょうか?全ての資料の所在を完璧に把握している方はいらっしゃらないのでは。電子化は、このように四散している資料を編纂するという意味でも重要になってきます。集めているうちに未知の資料を発見するという嬉しいハプニングもあるかも。

③大人数が資料にアクセス可能に

複数人で資料をシェア

様々な団体様から伺ったのがこの点でした。まず社内報30年分を電子化・OCR処理させていただいた株式会社WOWOW様は、

社内報はせっかく過去、いろんな担当者が汗かいて作ったものなので、会社にいる人がなら誰でもアクセスできたほうがいいですよね。

ということで、電子化後にイントラネット上で全社員がアクセス出来る体制を整えているようです。また、一本の資料目当てに遠方から研究者が来館することもあるという公益財団法人吉田秀雄記念事業財団様も、

(将来的には)ライブラリーで検索・閲覧できる環境を検討できればと思っています。

と、広く一般の方にも資料を閲覧出来るシステム作りを構想されているそうです。イントラやライブラリーなどシステム的な話以外では、先ほどのあしなが育英会様が

NPOなので、働く人もそれぞれが強い想いを持って入ってきます。すると、ともすれば活動の方向性にブレが生じかねません。そんなとき、原点に立ち戻るための資料がある、だれでもアクセスできるようにしておく、というのは大切ですね。

といったようにスタッフ教育や理念の面で頻繁に引用することを示唆されていました。アクセスしやすくなることで利用する機会が劇的に増え、『これ、こっちにも使えるんじゃない?』と新しいアイデアが生まれ活用の幅も広がる可能性があります。

使う資料なら『使いやすい形』で

喜ぶ女性

電子化には、ペーパーレス時代に対応できる、データ分析に使う情報をDBに入れられる、まとめで電子化して余ったスペースを有効活用できるといったよく聞かれるメリットもありますが、頻繁に使う資料なら『どれだけ取り扱いが簡単か?』、『どれだけ普段の業務が楽になるか?』といった現場目線での検討も非常に重要なファクターだと、インタビューを通じて感じました。実際に使う方々がどう思うか、それも大事なことの一つじゃないでしょうか。

そのままスキャンはBPOではなくデジタルアーカイブ事業を展開しているという自負がありますが、システムや事業レベルだけでなく実際に資料を活用するお一人お一人の業務に寄り添わなければ…と、一連の取材で再認識しました。

貴重書や社内資料の電子化という言葉に、なんとなく距離を感じていた方は少し身近になったでしょうか。皆さんも是非重たい資料や使われていない書籍を電子化して“現場”で大活用してくださいね。

尚、そのままスキャンがこれまでにインタビューさせていただいた法人様の記事は、こちらからPDFの事例集という形で無料配布しております。是非ご覧ください。